新NISA、細部は複雑 誤解を解く6つのポイント – 日本経済新聞
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB299GY0Z20C24A2000000/
保存日: 2024/03/04 8:04
写真はイメージ=PIXTA
2024年1月から少額投資非課税制度(NISA)の新制度がスタートした。制度の恒久化や非課税枠の拡大などメリットが増えたが、実は複雑で誤解しやすいポイントも多い。当連載では、新NISAの間違いやすいポイントや金融機関の選び方のコツを2回にわたって解説する。
新NISAで特に注目したいのが生涯投資枠の大きさだ。1人1800万円まで非課税で投資できるようになった。加えてつみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠を併用できるようになったのも大きなメリットだ。個別株と投資信託や、積み立てとスポット購入の併用など、使い方の幅も大きく広がった。これまでは商品を売却しても非課税枠は復活しなかったが、新制度では翌年に復活し、再度利用できるようになった。これまでの難点がほとんど解消した形だ。
実は誤解しやすい点も多い新NISA
投資枠や使い方の幅も広がった半面、誤解してしまうポイントも増えた。せっかく改良された部分も、使い方を間違えてしまうと却って損してしまうこともある。細かい部分も含め、注意したい6つのポイントを新聞・雑誌などで取材・執筆活動も行うファイナンシャルプランナーの竹川美奈子さんに聞いた。
まず注意したいのが、つみたて投資枠と成長投資枠が別の口座として管理されること。「金融機関のマイページでは、評価額や損益の表示が別となるだけでなく、2つの枠で同じ商品を積み立てる場合も、2つの注文を別に手続きする必要がある。旧NISA口座や課税口座でも商品を保有している場合、同じ商品でも最大で4つに分かれて表示されるため、管理には注意が必要だ」(竹川さん、以下同)。
「年の途中から積み立てを始め、今年のつみたて投資枠上限の120万円を使い切りたい場合、毎月の積み立てに任意の額を上乗せする『ボーナス設定』を活用する方法も。つみたて投資枠では制度上、最低でも年に2回の積み立てが必要なため、注意したい」
非課税投資枠が復活するルールも、活用にはコツがある。「例えば500万円(簿価)分売却しても、翌年に500万円満額は投資できない。年間投資枠の上限が優先され、360万円が上限となる」。
また、売却した翌年に復活するため、1月に売却するとほぼ1年待つことになるが、12月の売却なら復活が早い。ただし、年末ギリギリの売却は要注意。「新NISAでは原則約定日ではなく、『受け渡し日』が年内である必要がある」
旧一般NISAで保有している商品がある人は、その「出口戦略」も重要だ。前からNISAで投資をしている人にとってはおなじみの、購入してから5年後に行うロールオーバーは新NISAではできないためだ。何も手続きをしなければ、年末の時価で自動的に課税口座に払い出しとなってしまうため、必ず確認しよう。「新NISA口座には移せないが、特定口座にある株式を売却し、同時に新NISA口座で同じ銘柄・数量を買えば、移すのと同じような効果がある」。
また、旧NISAで買った投資信託で分配金を再投資している場合、再投資分は課税口座での投資となる点も注意したい。旧NISA口座からは新たな非課税投資はできないからだ。分配金を受け取りタイプに変更すれば、非課税保有期間中は普通分配金を非課税で受け取れる。
新NISA口座の金融機関を変更しても、保有商品が移管されるわけではなく、前の口座で保有し続けることになる。また、売却後の非課税枠は新しい口座で復活する。「保有商品を他の金融機関に移管することもできるが、NISA口座は対象外で、一度課税口座に払い出した後の移管に限る。移管手数料がかかる場合もあるので注意」
非課税期間が無期限となったことで、新NISAでの運用中に相続が発生することも増えるはず。「相続発生時は売却せずに株式のまま引き継げるが、相続人にNISA口座があったとしても、課税口座での引き継ぎとなる。引き継ぐ際の取得価格は相続が発生した日の時価となり、引き継ぎ後に値上がりした場合には、その差額が課税対象となる。また、金融機関をまたぐ引き継ぎは難しく、一度被相続人と同じ金融機関に口座を開く必要があることも注意したい」
(勝間美月)
[日経マネー2024年4月号の記事を再構成]
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