新NISAで買いたいETFは? お金のプロが注目する銘柄 – 日本経済新聞
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB018AR0R01C23A1000000/
保存日: 2023/11/04 8:21

東京証券取引所に上場する商品が拡充され、魅力が増しているETF(上場投資信託)。来年から始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)の投資対象としても有望だ。今回は、新NISAを使ってETFで展開する投資戦略を、資産運用に詳しい3人のお金のプロに提案してもらう。
【連載「技ありETFガイド」記事一覧】
• (1)新NISAで使いたい 魅力的なETFが東証に続々登場
• (2)ETFで新NISAの選択肢に幅 まずはETFの基本を習得
世界中の企業に幅広く投資する。遠い国の特定の業種・資産に集中投資する――。ETFを使えば、実に多くの投資戦略を手軽に実現できる。
ただし、新NISAを使うなら戦略は絞られてくる。留意点は新NISAの対象ETFが限られていることと、売却後、翌年から非課税枠が復活する仕組みだ。
ETFには長期の資産形成に向く主要指数連動型ETFと、投資対象を絞り込んだETFの2種に大別できる。一般的な使い方は、運用資産の7〜8割を主要指数連動型ETFで運用し、2〜3割を対象を絞り込んだETFなどで運用するというスタイルだ。

コア(中核)・サテライト(衛星)戦略などと呼ぶ。運用に相場観を反映させることで運用成績の向上を狙うものだ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も同様の戦略を取っている。
コア・サテライト戦略のサテライト部分は、相場の見通しが変化すれば入れ替えも必要だ。そこで考えたいのが、新NISAの成長投資枠を使って相場観を反映できるETFを買うという方法だ。成長投資枠で買えるETFは限られるが、サテライト向きのETFはそろっている。ただし、売却直後に非課税枠が復活するわけではないので、1〜2年は有効な戦略を実現するETFを選びたい。

以上のような前提で、足元で有望だと思えるサテライト投資戦略とその戦略を実現するのにふさわしいETFを、資産運用に詳しい3人のプロに聞いた。
3人がそろって挙げたのがアクティブETFの「PBR1倍割れ解消推進ETF」。「運用実績がないので判断は難しい」(ファイナンシャルプランナーの深野康彦さん)としながらも、足元のバリュー(割安)相場でリターンを狙うには適しているという見立てだ。高配当、高金利、米国株、ハイテク、不動産投資信託(REIT)、金といった投資アイデアも挙がった。
お金のプロ1 香川睦さんの投資戦略

世界の勝ち組企業とインドにETFで狙いを定める

全世界株式インデックスのETF・投信が人気だが、長期成績は米S&P500種株価指数の方が良好だ。米国は技術革新をリードし続けるだろう。米国株の中でも世界の勝ち組企業に絞って投資できるNASDAQ100指数連動ETFに注目したい。値動きが大きい点は注意だ。

成長性ならインドが非常に面白い。総人口は中国を抜き、個人消費は拡大。構造改革、インフラ整備も進む。産業界でも「中国からインドへ」が合い言葉になっている。インド株ETFにも注目したい。

一方、足元の日本株市場ではPBR1倍割れ解消が壮大なテーマになっている。「PBR1倍割れ解消推進ETF」で市場平均を上回る運用を狙うのも面白いだろう。
お金のプロ2 深野康彦さんの投資戦略

金利上昇の終了をハイテク株のETFで待ち受け

足元のバリュー株相場はもう少し続きそう。割安株に投資する「PBR1倍割れ解消推進ETF」はまだ妙味がある。しかし相場状況が変わったら撤退すべきだ。

一方、米国金利にピークアウト感が出てきたら、半導体やハイテクに資金が戻ってくる可能性が高い。沈んでいる電機などの業種別ETF、ハイテクのテーマ型ETF、NASDAQ総合株価指数連動ETFなどで先回りする手も考えられる。

米金利が低下するなら、相対的な利回りの高さが評価されて、国内の不動産投資信託(REIT)に追い風が吹くかもしれない。REITのETFで3%台後半の分配金を受け取りながら、価格上昇を待つ戦略もありだ。
お金のプロ3 峯秀行さんの投資戦略

市場動向に応じて有望ETFを機動的に入れ替え

新NISAの成長投資枠は2年から3年程度を見据えた投資にも向いている。中期的に有望だと思われる業種、テーマ、商品などのETFに投資してリターンを目指す戦略もある。

足元の日本株市場ならPBR1倍割れ解消などが有望テーマとして挙がる。米国株なら競争力の高い割安な中小型株を組み入れた「グローバルX Morningstar 米国中小型 Moat ETF」などは妙味がありそうだ。

分配金期待の投資も新NISAに適している。単純な高配当ETF以外に、連続増配企業で構成されたS&P500配当貴族指数連動ETF、海外REITに投資するETFなどは一段と高い収益を期待できる。
(本間健司=日経BP経済メディア編成部)
[日経マネー2023年12月号の記事を再構成]

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