日本株、下落局面で買える銘柄は「チャートで探す」 – 日本経済新聞
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB302PK0Q3A031C2000000/
保存日: 2023/11/02 8:12
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9月からの下落基調が改めて確認される形となった10月の日本株市場。軟調な相場で買える株はあるのか。どう探せばいいのか。下落局面でも買える株をテクニカルアナリストに聞いてみた。
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下落時の投資戦略を考える際に、まず必要になるのが「下落のサインを見逃さない」ことだ。9月下旬から日経平均株価・TOPIX(東証株価指数)ともに弱含む展開が続いているが、ここから本格的な調整局面へと移るのか。こうした潮目の変化を捉えるために、「オシレーター系指標の一つであるサイコロジカルラインを長期で見るのが有効」と話すのはテクニカルアナリストの福永博之さんだ。
サイコロジカルラインとは、ある一定の期間内で、株価が前日比や前月比などで上昇したケースが何%あるかを見る指標だ。一般的には75%以上が「買われ過ぎ」と判定される。
福永さんは日経平均やTOPIXのサイコロジカルラインをウオッチ。「過去のデータを見ると、相場のピークは日経平均なら83.33%、TOPIXなら91.66%」と福永さんは話す。下の株価チャートを見ても、それぞれピークを付けた後、下落基調に転じているのが見て取れる。
名古屋の投資勉強会「Kabu Berry」を主宰する個人投資家のyamaさん(ハンドルネーム)は、相場の流れを知るために「移動平均線の向きは見るようにしている」と話す。移動平均線は過去の終値を一定の期間ならして表示したもの。線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンドといわれる。
海外投資家の動向をチェック
一方、株価を決める要因の一つに需給がある。特に日本株市場で存在感がある海外投資家の売買動向は、株価形成に大きく関わる。元ファンドマネジャーで投資塾を運営する坂本慎太郎さんは、過去の経験則から「海外投資家の買い越し額が4週連続で2000億円以上続いていれば、大型株中心の好調な相場が続いていると判断している」という。
しかし、9月は現物株で海外投資家の売り越しが続いていた。先述の通り、サイコロジカルラインもピークの水準に近く、調整懸念は否応なしに高まっている。
長短チャートで銘柄を探す
では、これから起こりそうな下落局面で買える株には何があるのか。銘柄を選択する方法の一つとして、「長期で見れば上昇局面にある株で、短期的に下げているものを買う」がある。
福永さんは、「短期の日足で下落トレンドにある株を選び、長期の月足では上昇トレンドが継続している銘柄を探し出す」と解説する。短期で下落トレンドにある銘柄は、年初来安値を更新した銘柄をチェックすると見つけやすい。
キーエンスはその一例だ。日足チャートで見ると、8月末にローソク足が5日移動平均線や25日移動平均線に跳ね返され、下落トレンド入りが推察できる。特に重視される長いスパンの25日移動平均線、75日移動平均線が完全に下向きで、下落基調はより鮮明とも言える。
一方、長期の月足チャートを見ると上下動を繰り返しながらも上昇トレンドは継続している。これまでの流れを見ると、24カ月移動平均線や60カ月移動平均線にローソク足が近づくと反発しているのが見て取れるだろう。このため、24カ月移動平均線のあたりで打診買いをして、そこを割れるようなら一旦は売却して改めて60カ月移動平均線に近いところで買う戦略が考えられる。同様の例には任天堂がある。
このように短期で下落している株に投資できる場合もあるが、短期・長期ともに下落基調にあり、買いには向かない銘柄もある。短期の日足チャートでは全ての移動平均線が下向きになり、その下にローソク足がある場合がその例だ。長期の月足チャートを見ても同様なら、今後も下落が継続すると予測できる。このため、買いは見送るのが賢明という。
(佐藤由紀子)
[日経マネー2023年12月号の記事を再構成]
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