隔月分配型ファンド、新規設定が急増 – 日本経済新聞
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB00003_Y3A920C2000000/
保存日: 2023/10/03 8:18
国内公募の投資信託で、決算回数が年6回ある隔月分配型の新規設定が急増している。2024年1月に始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)で毎月分配型が対象にならないため、代替商品として隔月分配型を投入する動きが目立ち始めた。
今年4〜9月に新規設定した国内公募投信を年決算回数別に月ごとに集計したところ、隔月分配型は8月までゼロ〜3本だったのが、9月は15本(同25日時点での予定分を含む)に跳ね上がった(図1)。月ごとの新規設定ファンド本数のうち、隔月分配型が占める割合の推移を見ても、8月までの1ケタ台から9月は一気に2割を超えた。
投信の年決算回数は1回、2回、4回、6回(隔月)、12回(毎月)のどれかが一般的。このうち毎月分配型は、定期的に分配金を受け取りたい個人投資家から根強い人気がある。しかし、分配金を受け取ってしまうと、運用益を元本に加えて資産を大きく増やす複利効果は狙えない。長期の資産形成にはそぐわないとされ、新しいNISAでは毎月分配型が対象からごっそり除外されることになった。
一方、隔月分配型なら「分配頻度が毎月でないこと」という要件を満たし、新しいNISAの対象になりうる。分配金の支払いで複利効果が働きづらくなる点は毎月分配型と同じだが、法令上の規制にはひっかからない。間隔はやや空くものの、定期的に分配金を受け取りたい投資家のニーズにも応えられるとあって、毎月分配型の代わりに新規設定が相次いでいるというわけだ。
隔月分配型は、奇数月に分配金を支払うタイプがほとんど。偶数月に支払われる年金を補うかたちになるため、受け取った分配金を生活費に充てたい年金受給層などの需要も見込める。
最近の傾向を見ると、とりわけ人気の高い毎月分配型の決算回数だけを減らし、その「隔月分配版」を新たにつくる事例が目立つ(図2)。例えば10月3日に設定予定の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Eコース隔月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は、運用実績が9年超の「Dコース毎月決算型」と同じマザーファンドに投資する。この「Dコース」は国内公募の追加型株式投信(ETF=上場投資信託を除く)のうち、毎月分配型で最大規模をほこる。
(QUICK資産運用研究所 西本ゆき、西田玲子)