NYダウ、36年半ぶり13連騰 過度な引き締め不安後退 – 日本経済新聞
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26DMZ0W3A720C2000000/
保存日: 2023/07/27 7:39
2023年7月27日 5:05
26日もダウ平均の連騰が続いた(ニューヨーク証券取引所)=ロイター
【ニューヨーク=斉藤雄太】26日の米株式市場でダウ工業株30種平均が13営業日連続で上昇し、1987年1月以来36年半ぶりの連騰記録となった。米連邦準備理事会(FRB)は同日に政策金利を22年ぶりの高さに引き上げたが、パウエル議長は追加利上げは今後のデータ次第との姿勢を強調。過度な引き締めへの不安が後退した。
ダウ平均の終値は前日比82ドル(0.2%)高の3万5520ドルだった。2022年2月以来、1年5カ月ぶりの高値。ハイテク株中心のナスダック総合株価指数は0.1%安で終えた。
ダウ平均採用銘柄では26日発表の23年4〜6月期決算が市場予想を上回った航空機大手ボーイングの株価が9%上昇した。前日発表の決算が好調だった工業製品・事務用品のスリーエム(3M)株も3%高と続伸し、良好な企業業績が相場を押し上げる流れが続いた。今年前半に相場をけん引したテック株から物色の裾野が広がっている。
FRBは26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を2会合ぶりに0.25%引き上げ、5.25〜5.5%にした。同金利は2001年3月以来の高水準になったが、市場は今回の利上げをほぼ確実とみていた。
パウエル氏は同日の記者会見で、6月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが想定以上に鈍ったことを歓迎しつつ「1つのデータにすぎず、もっと(インフレ鈍化を示す)データをみる必要がある」と繰り返した。
9月19〜20日の次回会合までに2回発表されるCPIや雇用統計などの経済指標を注視し、必要と判断すれば「9月に再び利上げする可能性はある」と述べた。ただ同時に利上げ見送りのシナリオにも言及し、バランスの取った発言に終始した。
米運用会社ナベリアのルイス・ナベリア最高投資責任者(CIO)は「今後の利上げはデータ次第というパウエル氏の発言は、すでにインフレが落ち着いていることに照らせば(引き締めに前向きではない)ハト派的な発言だ」とみる。市場では今回の会合でFRBが利上げを打ち止めにするとの見方がなお優勢だ。
米債券市場では、政策金利の動きに敏感な2年物国債利回りがFOMCの結果公表前の4.9%台からパウエル氏の会見中に4.8%台前半まで低下(価格は上昇)する場面があった。ニューヨーク外国為替市場で対ドルの円相場はおおむね1ドル=140円台で推移し、比較的小幅な動きにとどまった。
パウエル氏が経済の強さや金融システムの安定に自信をみせたこともあり、市場参加者は景気が大幅な冷え込みを回避する「軟着陸」への期待をつなぎ、ダウ平均の歴史的な連騰につながった。米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズによると、仮に27日もダウ平均が上昇して14連騰になれば1897年以来、126年ぶりとなる。
ダウ平均は13連騰の期間中に5.3%高になった。1987年1月の13連騰時は11%高で、当時と比べれば緩やかな上昇になっている。ただ87年は10月に世界同時株安「ブラックマンデー」が起きた年でもあり、連騰記録が相場の過熱感を表していないか市場には警戒感もある。
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• ひとこと解説今回の利上げで長短金利の逆ざや(10年金利とFF金利誘導水準の中間値の差)は2.5%まで拡大した。米国景気には、長短金利が逆転してから1年くらい後にリセッション入りするという経験則がある。ただし、それはあくまでも経験則で、そうならないこともある。 今回、米景気は減速してきているものの雇用は強いまま。来年にかけてAI(人工知能)や半導体への投資が盛り上がり、米景気が持ち直すとの期待もある。今回パウエル議長が景気後退の見通しを撤回したことによって、ソフトランディングの楽観を強めた面がある。
• ひとこと解説87年の年初以来となるダウ工業株30種平均の13連騰が実現。米国株の地合いの強さの背景は、本欄に何度か書いてきた通り、(1)FRBの利上げは終わりが近く、インフレが沈静すれば先行きは利下げが期待できること、(2)米国の景気は底堅く、リセッション(後退局面)入りは回避できそうなことの2点。FRBスタッフもリセッションをもはや予想していないというパウエル議長の発言は上記(2)を補強した。(1)(2)のいずれかがぐらつかない限り、米国株の地合いは基本的に強い。とはいえ、26日の米国株市況をロイターは「ほぼ変わらず、ダウは13連騰」というタイトルで報じた。ナスダックとS&P500種はこの日、下落した。