経済も習氏直轄 側近の李氏・何氏が運営へ
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM230B00T21C22A0000000/
保存日: 2022/10/24 7:37
記者会見に臨む李強氏㊧と習近平総書記(23日、北京の人民大会堂)=比奈田悠佑撮影
【北京=川手伊織】23日に発足した3期目の習近平(シー・ジンピン)政権は、経済運営も習総書記(国家主席)の直轄になりそうだ。経済政策を担う首相に側近の李強氏が就く見通しとなったほか、金融部門の責任者も旧知の部下を登用するとみられる。改革派官僚が軒並み政策運営の第一線から去り、経済の統制色がいっそう強まるとの懸念が高まっている。
中国は国家主席が政治と外交、首相が経済をそれぞれ担い、役割を分担してきた。李強(リー・チャン)氏は共産党の序列2位となり、現首相の李克強氏の後任になる公算が大きい。李強氏は浙江省トップだった習氏を支えてきた側近だけに、習氏の意向をくみながら経済政策を運営していくと見るのが自然だ。
金融行政のトップも、習氏に近い何立峰・国家発展改革委員会主任が就くとの見方が出ている。何氏は今回、序列24位以内の政治局員に選ばれた。2023年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で退任する方向の劉鶴副首相を引き継ぎ、国務院(政府)金融安定発展委員会を取り仕切るとみられる。
対照的に、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁や中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席は退任が濃厚となった。劉氏とともに、市場を重視する改革派が政策運営の第一線から退くことになる。
習氏は格差縮小をめざす「共同富裕(共に豊かになる)」政策を掲げる。16日の党大会初日での活動報告では「蓄財の仕組みを統制する」と強調した。今後は李強氏らが具体化していくが、共同富裕を名目に民間企業への統制が強まる可能性が否定できない。
中国経済は新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策などで回復が遅れている。地方の中小銀行を中心に金融不安のリスクもくすぶる。先行き不安が拭えないなか、実務経験が乏しい「李・何」コンビの手腕は未知数だ。環太平洋経済連携協定(TPP)加盟に向けて慎重姿勢を崩さない日本やオーストラリアとどう対峙するのかにも関心が集まる。