米決済ストライプ、自社の企業価値評価28%下げ 米報道(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14F1U0U2A710C2000000/
保存日: 2022/07/15 8:05

2022年7月15日 4:24

ストライプは従業員に対し、自社の評価額引き下げを伝えた=ロイター

【シリコンバレー=佐藤浩実】未上場の米オンライン決済大手ストライプが自社の評価額を28%引き下げたことが明らかになった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が14日に報じた。これまで企業価値を950億ドル(約13兆2100億円)としてきたが、上場しているフィンテック企業の株価下落を踏まえて評価を見直したもようだ。他の未上場企業でも同様の動きが続く可能性がある。
WSJによるとストライプは従業員に対し、自社の現状の株価は約29ドルだと伝えた。ストックオプション(株式購入権)の価格設定などに用いる「409A評価」に基づく金額といい、従来の40ドルから28%下げた。取締役会が6月30日に変更を承認したとしており、新たな株価で計算するとストライプが見込む企業価値は約740億ドルとなる。
ストライプは2021年3月に独アリアンツ・グループなどから6億ドルを調達した際、自社の評価額を950億ドルと説明していた。ただ、22年に入ってフィンテック企業を取り巻く環境は一変した。金融引き締め政策や景気の減速懸念を背景に、上場している同業の株価は軒並み大きく下落している。
例えば、米決済大手のペイパル・ホールディングスやブロック(旧スクエア)は22年初めからの株価下落率が60%を超えている。上場していないストライプの評価額が過大に見える状況になっており、内部評価の見直しにつながったとみられる。

WSJの報道に関して確認を求めたところ、ストライプの広報担当者は「回答を控える」とした。ただ評価額を自ら下げることで、従業員により低い価格で株式報酬を発行できるようになる。人材の引き留めや新規採用での競争力強化を狙っているとみられる。宅配代行のインスタカートも3月、ストックオプションの魅力を高めるために内部評価額を38%引き下げた。
未上場企業では評価額の下がる条件で資金調達をする「ダウンラウンド」も増えている。後払い決済大手のクラーナ(スウェーデン)は7月に8億ドルを調達した際、評価額が従来の7分の1にあたる67億ドルになったと公表した。セバスチャン・シェミャートコフスキ最高経営責任者(CEO)は「フィンテック株の下落の影響を免れない。同業他社の企業価値はピーク比で80〜90%落ちている」と弁明した。
現状のダウンラウンドは上場を控えた「レイター(後期)」と呼ばれる、企業規模の大きな未上場企業が中心だ。ただ、米モルガン・スタンレーで調査を担当するジンジャー・チャンブレス氏は「現在の環境が続けば、ダウンラウンドはあらゆる規模の未上場企業に広がるだろう」と指摘している。
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