TSMC、22年売上高30%増へ 欧州工場「計画ない」
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0848R0Y2A600C2000000/
保存日: 2022/06/08 19:26
TSMCが手掛ける高性能半導体の需要は好調を維持している
【台北=龍元秀明】半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は8日に開いた定時株主総会で、2022年12月期の売上高が前期比30%増えるとの予想を示した。世界的なインフレなどが懸念されるが、TSMCが手掛ける先端半導体は底堅い需要が続く見通しだ。半導体工場の誘致を進める欧州への進出については、現時点で具体的な計画はないとした。
TSMCの21年12月期の売上高は1兆5874億台湾ドル(約7兆円)だった。TSMCは22年の半導体受託生産の市場規模を前年比20%増と予測しており、5割超を握るTSMCのシェアは一段と高まる見通しだ。
経営トップの劉徳音董事長は、世界的なインフレや中国の都市封鎖などの影響について、「民生機器や携帯電話、パソコンの需要に少し影響がある」と述べた。その上で、「自動車や(サーバーなど)高性能演算向けは安定しており、当社の工場の稼働率は非常に高い」と話した。
25年後半には現行の2世代先にあたる超先端半導体、回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートル品の量産を予定している。魏哲家・最高経営責任者(CEO)は2ナノ品について「技術開発を進めており、試験生産などに注力する」と述べ、順調な進捗をアピールした。
欧州連合(EU)は半導体の域内生産に向けて工場誘致を進めており、2日にはEUと台湾の当局者が半導体などの供給網(サプライチェーン)などをめぐり協議した。欧州での新工場建設について劉氏は「需要を評価しているが、欧州の顧客は少なく、今のところ具体的な計画はない」と述べるにとどめた。
米アリゾナ州に建設中の新工場については、コストが予想より膨らんでいるが、対応できる範囲内にあるとの見方を示した。米国政府が検討する半導体産業への補助金が米国企業に限られるとの見方が一部にあることについては、「米国は世界から投資を集める必要がある。補助金を米国企業に限ることは想定していない」と述べた。