プーチン氏に戦況で誤情報、米分析 「軍と緊張関係に」(写真=ロイター)
作成者:
ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30E9G0Q2A330C2000000/
保存日: 2022/03/31 7:47
いいえ

2022年3月31日 6:32

米ホワイトハウスのベディングフィールド広報部長は「プーチンと軍の間に緊張が生じている」と語った=ロイター

【ワシントン=坂口幸裕】米ホワイトハウスのベディングフィールド広報部長は30日の記者会見で、ロシアのプーチン大統領にウクライナでの戦況などについて軍から誤った情報が伝えられているとの認識を示した。「プーチンがロシア軍に欺かれたと感じているとの情報があり、その結果、軍との間に緊張が生じている」と述べた。
ウクライナでの想定外の苦戦や米欧などによる対ロシア制裁に伴う経済的打撃に関し「誤った情報がもたらされている」と主張した。誤情報が伝えられる背景をめぐっては、プーチン氏の側近は「怖くて真実を話せないからだ」と語った。
バイデン政権は情報機関の調査に基づく今回の機密を解除してプーチン氏を取り巻く状況に関する情報公開に踏み切った。ベディングフィールド氏は「我々が公開した意図はロシアにとって(ウクライナ侵攻が)いかに戦略的失策だったかを理解してもらうことだ」と説明した。
ブリンケン米国務長官は同日、訪問先のアルジェリアの首都アルジェで記者会見し、プーチン氏に正確な情報が伝わっていない理由について「独裁国家のアキレスけんのひとつが権力者に真実を語る人物がいないことだ。それがロシアで表れている」と話した。
ウクライナの戦線に送られたロシア兵の多くは徴兵された若者が占める。米CNNは30日、米政府高官の話として「プーチン氏が徴兵を使っていると知らなかった。正確な情報の流れに明らかな断絶がある」と伝えた。
米国防総省のカービー報道官は29日、ロシア国防省が同日にウクライナの首都キエフなどでの軍事活動を縮小すると発表したのを受け「キエフ制圧に失敗した」と断定した。
米欧の分析によると、当初ロシアは2月24日の侵攻から2~3日でウクライナを制圧できるともくろんでいたが、ウクライナ軍の激しい抵抗や現地での物資不足などで苦戦を強いられている。
【関連記事】
• ・ロシア軍、キエフ周辺から2割近くを再配置 米分析
• ・米、ウクライナに600億円追加支援 首脳協議で伝達
• ・中立化・東部の主権が焦点 ウクライナ停戦協議
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
• ひとこと解説「独裁国家のアキレスけんのひとつが権力者に真実を語る人物がいないことだ」というブリンケン国務長官の言葉に、すべてが集約されている。独裁者の力が強すぎると、周りの部下たちは彼を怒らせた場合に受ける仕打ちを怖がって委縮してしまい、耳障りの良い情報しか上げなくなる。そうした行動をとっていたことが独裁者にばれると、その人物はおそらくパージされることになるが、後任者も本当のことを独裁者にそのまま報告するのをためらうだろう。イエスマンばかりが独裁者の周囲を固めることになりがちである。手持ちの情報が正確でなければ、独裁者が下す決定は、彼にとって最適なものにはなりにくい。企業経営の教訓にもなりそうな話である。


• 分析・考察ウクライナ侵攻を通じてロシアが張子の虎にみえるというのは決して過言ではない。プーチンは強い指導者であり英雄のようだが、プーチン政権をみると、まったくチームワークができていない。ミドルクラスの幹部に主体性がない。すべてのことはプーチンによるトップダウンで決まる。組織論的にいえば、これはマフィアのシンプルな組織とよく似ている。結局、組長のプーチンに命じられた仕事を額面通りにやり遂げることができなければ、下から上に対してごまかすしかない。だから張子の虎というのである


春割ですべての記事が読み放題
今なら初回2カ月無料!