ロシア要人の「離反」広がる ウクライナ侵攻に反対(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR240520U2A320C2000000/
保存日: 2022/03/25 8:23

大統領特別代表を辞任したチュバイス氏(2018年撮影)=ロイター

【ワルシャワ=木寺もも子】気候変動問題などで国際機関との連携を担当するロシアのチュバイス大統領特別代表が23日までに辞任した。同国のプーチン大統領が進めるウクライナ侵攻に抗議したとみられる。ロシア中央銀行のナビウリナ総裁が一時、辞意を表明したとの報道もある。プーチン政権への影響は不透明だ。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は23日、第1副首相も経験したチュバイス氏が辞任したと明らかにした。ペスコフ氏は、チュバイス氏が辞任した理由を「本人の希望」 などと説明した。同氏はウクライナ侵攻に反対していた。すでにロシアを出た可能性がある。
23日の米ブルームバーグは、ナビウリナ氏が侵攻後に辞任の意向を示し、プーチン氏に慰留されていたと報じた。ナビウリナ氏は18日に3期目の再任指名を受けていた。侵攻後の2月28日、通貨ルーブル防衛のため政策金利を9.5%から20%に引き上げると発表したが、その際に喪服を連想させる詰め襟の黒い服装で記者会見に臨んでいた。

辞意を漏らしたと報じられたロシアのナビウリナ中銀総裁(2018年撮影)=ロイター

動揺はロシア経済を支えてきた大手企業にも及ぶ。アルミニウム大手のルサールを所有するオレグ・デリパスカ氏は侵攻後、SNS(交流サイト)のテレグラムに「平和はとても重要だ」と投稿し、侵攻に反対する姿勢を示唆した。
ニッケル・パラジウム大手のノリリスク・ニッケルを率いるウラジーミル・ポターニン氏は、プーチン氏がロシア撤退を決めた外資資産の国有化を打ち出すと、ロシアを「100年前に戻す」と指摘した。1917年に当時のロシア帝国で起きた革命の背景となった国民の困窮が再び起こる可能性を示したと受け止められている。
チュバイス氏、デリパスカ氏、ポターニン氏に共通するのは、プーチン氏の側近とはいえず、1990年代のエリツィン前政権で頭角を現した点だ。チュバイス氏はエリツィン政権で大統領府長官や第1副首相を務め、経済改革を主導した。いずれもプーチン政権とは距離があった。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
• ひとこと解説軍事侵攻の機密情報が早期共有され西側諸国が異例の速さで経済制裁に連携して動いた結果、オリガルヒやロシア高官の離反が続いています。彼等がこれまで既得権益を得てきた事は事実ですが、エリツィン時代の混乱期の腐敗したオリガルヒとは違い、プーチンと共にロシア経済の資本主義化と国家の財政再建を進めてきたエリート達です。独自のグローバルな情報ネットワークを持ちプロパガンダ報道下でも正確に状況把握し膠着状態がこのまま続くと経済破綻含めて大きな痛手を被ると判断しアフタープーチンに向けて距離を置き始めたと思われます。支持基盤シロビキ(治安関係)のFSBとも対立が囁かれています。政権崩壊は意外と早いかもしれません。

2022年3月24日 22:15 (2022年3月24日 22:31更新)


• ひとこと解説金融関係者に衝撃を与えたのは、ロシア中銀のナビウリナ総裁がいったんは辞意を漏らしていたとの部分です。ブルームバーグが伝えたものですが、同総裁は過去20年近くにわたってプーチン氏と緊密に連携し、国際金融界の評価も高かった。そんなナビウリナ氏も、1日当たり200億㌦ともいわれる戦費を蕩尽するプーチン氏にはついて行けないと感じたかもしれません。 ブルームバーグの記事で驚かされたのは、「この段階で辞任するとなれば、プーチン氏は裏切りと見なすだろう」という関係者のコメントです。沈み行く泥船を思わせる光景が、金融政策の中枢で演じられているとすれば、ロシアの戦時経済は極めて厳しいところに差しかかっています。

2022年3月24日 21:45 (2022年3月24日 21:49更新)


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