NYダウ続伸、417ドル高 ロシアのデフォルト懸念和らぐ
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN00001_Y2A310C2000000/
保存日: 2022/03/18 7:56
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2022年3月18日 5:23
【NQNニューヨーク=戸部実華】17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比417ドル66セント(1.2%)高の3万4480ドル76セントで終えた。ロシアの外貨建て国債(米ドル建て)の利払いが実施されたと伝わった。ロシアの債務不履行(デフォルト)への懸念がやや和らぎ、幅広い銘柄に買いが優勢となった。
16日に期限を迎えていたロシアの外貨建て国債の利払いが債券保有者に対して米ドルで実施されたと17日にロイター通信が伝えた。ロシア財務省は支払いを実施したと発表していたが、投資家側が受け取ったかどうかは確認されていなかった。当日に利払いがなく、30日間の猶予期限を経ても支払いがなければデフォルトになるとの懸念が出ていた。過度な懸念がひとまず後退し、投資家心理の改善につながった。
米連邦準備理事会(FRB)は16日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)でほぼ3年ぶりとなる利上げを決めた。市場では「(金融引き締めに前向きな)タカ派的内容だったが、今後の一定の道筋が示された」(ナショナル・セキュリティーズのアート・ホーガン氏)との声があった。ダウ平均は前週まで5週連続で下落しており、重要イベントの通過でこれまで株式の持ち高を減らしていた一部投資家から持ち高調整の買いが入ったとの見方もあった。
ダウ平均は朝方に下げる場面もあった。16日にウクライナとロシアの停戦交渉が進展していると伝わったが、17日はロシア政府の報道官が「停戦合意に達するには程遠い」と述べたと報じられた。ウクライナ情勢を巡る不透明感は根強く、相場の重荷となる場面があった。
景気敏感や消費関連株の買いが目立った。化学のダウが5%高となり、建機のキャタピラーやクレジットカードのアメリカン・エキスプレス、スポーツ用品のナイキも高い。原油高を受け、石油のシェブロンも買われた。ハイテク株も買われ、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムとスマートフォンのアップルが上昇した。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比178.228ポイント(1.3%)高の1万3614.781で終えた。電気自動車のテスラやネット通販のアマゾン・ドット・コム、動画配信のネットフリックスの上げが目立った。
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• ひとこと解説FRBは小幅利上げに動いたが、量的引き締め(QT)開始が決定されるのは最速で5月というスケジューリングである。それまでの間は「カネあまり」状況がそのまま続いているわけで、このところ急落していた米国株が買い方向の手掛かり材料を見出して、反発する場面が見られてもおかしくない。だが、冷静に考えると、仮にウクライナ情勢が停戦合意成立などからとりあえず安定化に向かい、市場の「リスクオフ」材料が1つ解消しても、FRBが中立金利2.375%を超えるところまで淡々と利上げを重ねていき、同時並行的にQTも実行して「カネあまり」度合いを弱めていく方針には変わりがはない。したがって米国株の反発には自ずと限度がある。