初の停戦対話が終了、継続探る 開催中もロシアは攻撃(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR28E2F0Y2A220C2000000/
保存日: 2022/03/01 7:48
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2022年3月1日 3:46

2月28日、ベラルーシ南東部の国境地域で第一回の対話を行ったロシア㊧とウクライナの代表団=ロイター

【モスクワ=石川陽平】ロシア軍によるウクライナ侵攻で、両国の代表団は2月28日、ベラルーシ南東部のウクライナとの国境地帯で停戦を巡る対話を実施した。双方の立場は隔たりが大きいが、停戦の実現に向けた課題を詳細に話し合った。終了後、近く2回目の対話を行い、なお歩み寄りを探る意向を示した。対話中も各地で激しい攻防が続いたとみられ、収束への道筋は見えない。米国防総省高官は28日、ロシア軍が数日間で首都キエフの包囲を狙うとの見通しを示した。
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両国代表団の対話は24日の侵攻開始から初めて。ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介した。ロシアはメジンスキー大統領補佐官が代表団を率い、外務、国防両次官も加わった。ウクライナ側はレズニコフ国防相やポドリャク大統領府顧問らが参加した。

対話5時間、双方が持ち帰り協議

ウクライナの通信社ウニアンによると、約5時間に及ぶ対話終了後、ポドリャク顧問は停戦に向けた「優先的テーマを明確にし、これらに関する一定の解決方法が示された」と述べた。ゼレンスキー大統領ら政権幹部と進展が可能かどうかを協議するという。
一方、ロシア代表団に加わった下院国際問題委員会のスルツキー委員長は国営テレビに「前進が可能ないくつかの重要な項目が見つかった」と指摘した。対話の結果をプーチン大統領ら政権幹部と協議すると述べた。
ウクライナ、ロシア双方は対話を継続したい意向も示した。ロシア代表団を率いるメジンスキー補佐官によると、次回の対話は数日以内にもポーランドとウクライナの国境地域で行われる可能性がある。

停戦へ隔たり大きく

ただ、停戦実現に向けた両国の立場は大きく異なり、今後の対話で進展が望めるかは不透明だ。ロシアは停戦の条件として、ウクライナの非武装化や中立化に加え、現政権の責任追及などを強硬に要求してきた。

ロシア軍の空爆で破壊されたウクライナ北東部の基地=ロイター

これに対して、ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問は28日、地元テレビでロシアとの対話で「ウクライナ領からのすべてのロシア軍撤退を求める」と述べた。ロシアが2014年に一方的に併合したクリミア半島からの撤退も要求すると言明した。
ウクライナ各地では対話が続いていた28日にもロシア軍による攻撃が伝えられた。特に東部や南東部で激しい戦闘が続いたほか、首都キエフ近郊でも衝突があった。ロシアはキエフに突入する構えを崩しておらず、ウクライナ軍の激しい抵抗にあっている。
インタファクス・ウクライナによると、キエフ防衛にあたるシルスキー軍司令官は28日、同日未明にロシア軍部隊が再びキエフ防衛網を突破しようとしたが、「失敗に終わった」と語った。
ロシア外務省は28日、ウクライナに殺傷兵器を供与した国に対して、これらの兵器がロシアとの戦闘で使われた場合には供与国も責任を負うことになると警告した。ウクライナへの軍事支援を巡っては米国やフランス、ドイツ、オランダ、英国などがミサイルや対戦車砲などを供与すると表明している。
一方、米国防総省高官は28日、記者団に対してロシア軍が数日間でウクライナの首都キエフの包囲を狙うとの見通しを示した。キエフへの進軍が計画より遅れていると重ねて指摘し「ロシアがいらだって一段と攻撃的なアプローチをとるかもしれない」と懸念を示した。
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ウクライナ軍、激しく抵抗

ウクライナ軍参謀本部は28日朝、SNS(交流サイト)のフェイスブックで同日未明までに西部の都市ジトミールや北部のチェルニゴフで民間の住宅にミサイルが撃ち込まれたと明らかにした。ただ「ロシア軍の攻撃の勢いは弱まっている」と指摘し、「敵の士気は落ち、大きな損失が出ている」と述べた。

戦禍を避けウクライナから逃れる人も増えている(2月28日、ハンガリーの首都ブダペスト)=AP

ロシアが停戦を巡る対話の実施もにらみ攻勢を控えている可能性もあるが、ウクライナはロシア軍との戦闘で善戦しているとの自信を強めているようだ。マリャル国防次官は28日、侵攻開始以降、ロシア軍兵士約5300人が死亡したと明らかにした。
キエフ市当局は28日朝、ここ数日営業を停止していた食料品店の営業や、地下鉄などの公共交通機関の運行も再開されると明らかにした。地下鉄の運行本数は通常よりも少なくなるという。市民にはできるだけ外出を控えるよう呼びかけを続けている。
ウクライナで民間人の死傷者数が増えている。ウクライナ保健省は28日、ロシア軍が侵攻を始めた24日以降、民間人の死亡者数が352人となり、このうち16人が子供だったと発表した。負傷者は2040人になった。
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