安保理、ウクライナ決議採択できず ロシアが拒否権発動
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN25EX50V20C22A2000000/
保存日: 2022/02/26 9:20

安保理は25日、ロシアのウクライナ侵攻を非難する決議案を議論した

【ニューヨーク=吉田圭織、白岩ひおな】国連安全保障理事会は25日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアを非難する決議案を否決した。賛成多数を確保したが、常任理事国のロシアによる拒否権発動で採択できなかった。
賛成したのは米国など11カ国。中国とインド、アラブ首長国連邦(UAE)が棄権し、ロシアが反対した。安保理外交筋によると、決議の内容を巡って中国やインドが難色を示したことなどを理由に、会合が当初予定から2時間延期された。米国はロシア以外の理事国全ての支持を得ることを目指したが、実現できなかった。

決議案を共同提案した国名を読み上げる安保理議長国ロシアのネベンジャ大使(25日、ニューヨークの国連本部)

インドのティルムルティ国連大使は「どんなに困難な状況にあっても紛争の解決には対話しかない。外交の道を諦めたことは非常に残念であり、そのため決議に棄権した」と説明した。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は採決後に「ロシアは国連憲章を拒否することもできないし、説明責任を逃れることもできない」と強調した。今後の対応については「ロシアの拒否権が適用されない国連総会で問題を取り上げ、ロシアの責任を追及し、ウクライナへの連帯を示すべきだ」と話した。
トーマスグリーンフィールド氏は採決前に「ロシアは隣国を侵略する戦争を選択した。歴史はわれわれの行動と不作為に審判を下す」と強調した。15カ国の理事国に対して「ロシアが責任を負うべきだと考えるなら、賛成票を投じてほしい。反対か棄権を選べば、国連憲章を守らず、ロシアの攻撃的で挑発的な行為に同調するということだ」と述べていた。
米国がアルバニアと共同で提案した決議案では「ロシアのウクライナに対する侵略を最も強い言葉で非難する」との文言が盛り込まれ、「即時に完全かつ無条件でロシア軍の撤退」を要請した。ウクライナ東部のルガンスク州とドネツク州をめぐる独立承認は「ウクライナの領土保全と主権の侵害として非難する」と明記し、決定を撤回するよう求めていた。