ヤマダ、アマゾンと協業 スマートテレビを共同開発
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC16BJN0W2A210C2000000/
保存日: 2022/02/18 8:12

異例のタッグを組みスマートテレビを販売する(ヤマダHDの山田会長兼社長㊨とアマゾンジャパンのチャン社長

ヤマダホールディングス(HD)とアマゾンジャパン(東京・目黒)が動画配信機器を内蔵した独自のテレビ販売で提携する。今後は他の家電商品の開発も検討する。ヤマダはソフト開発力のあるアマゾンと組むことで競争力を高め、家電市場での生き残りを目指す。
家電量販最大手のヤマダとネット通販最大手のアマゾンは17日、ネット動画配信機器「ファイアTV」を内蔵した国内初のスマートテレビを報道陣に公開した。価格は大きさによって異なり5万~14万円程度。ヤマダはプライベートブランド(PB)として扱う。同日からアマゾンでは予約を受け付け、3月5日にヤマダ店舗や自社サイトでも販売する。
両社が手掛けたスマートテレビは、音声操作だけで地上波放送やネット配信動画などを見られる手軽さが売りだ。家族ごとにアカウントを登録でき、自分が好きなチャンネル一覧を瞬時に切り替えることができるのも強みだ。年間販売台数の目標は25万台で、薄型テレビの国内出荷台数でまずは5%程度を奪いたい考えだ。
ネット通販は2010年ごろから価格情報の比較サイトの普及で低価格攻勢を仕掛け、家電量販店から市場を奪ってきた。その業界の最大手同士が手を組むのは異例だ。
「(仕入れて売る)ハード屋だけでは時代を先取りできなくなった。アマゾンと組んだ方がお得だと感じた」。同日、記者会見を開いたヤマダHDの山田昇会長兼社長は強調した。
今後はアマゾンの人工知能(AI)スピーカー「エコー」とつながる家電の独占販売など、ソフト面でアマゾンの力をさらに得る考えを示した。アマゾンの倉庫から短時間で配送するなど、物流面での連携も検討していく。

ヤマダは家電メーカーの船井電機と16年に独占販売契約を結び、PBで安いテレビを販売してきた。「ソフトなどの技術が足りない」(山田氏)ところはアマゾンで補うなどして商品力を強くする。アマゾン側にとっては国内約1000店舗での販売網を得られるメリットがある。
米国ではすでに最大手同士の連合が進んでいる。18年には米アマゾン・ドット・コムと米家電量販大手のベストバイが組み、ファイアTV内蔵スマートテレビの独占販売に乗り出した。ベストバイは3年で売上高が約1割伸びており、競争が厳しい中でも成長を続けている。
ネットとリアルの融合が進むなか、日本でも業界の垣根を越えた連合が広がる可能性がある。
(佐伯太朗、小池颯)