アレクサ、宇宙の旅 Amazonの音声AIが月探査に参加
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05D970V00C22A1000000/
保存日: 2022/01/06 8:09
アレクサを搭載した宇宙船内のイメージ(アマゾン提供)
【シリコンバレー=白石武志】米アマゾン・ドット・コムは5日、米航空宇宙局(NASA)が月探査「アルテミス計画」の第1段階として2022年春に打ち上げ予定の無人宇宙船に同社の音声人工知能(AI)「アレクサ」を搭載すると発表した。将来の有人飛行で宇宙飛行士らが声による指示で船内の照明を点灯させたり、飛行情報を集めたりすることを目指している。
米ラスベガスで開催中の世界最大のテクノロジー見本市「CES」にあわせ、アマゾンと宇宙船の開発を担う米ロッキード・マーティンがアレクサを使った実証試験「カリスト」をすると発表した。ロッキードは打ち上げ時の衝撃や振動に耐えられる専用ハードウエアを、アマゾンは宇宙船内の騒音や残響を考慮した音声処理ソフトウエアをそれぞれ開発した。
22年春に予定する「アルテミス1号」で打ち上げる宇宙船「オリオン」は無人だが、アマゾンは米南部テキサス州にあるNASAのジョンソン宇宙センターに船内の様子を模擬的に体験できる施設を用意する。遠隔からオリオン船内に接続し、アレクサと宇宙飛行士の対話をシミュレーションできるという。
アレクサは米国の人気SFドラマ「スタートレック」に登場する人間と会話できるコンピューターに触発されて開発が始まった。アマゾン幹部は報道発表の中で「今回のミッションにおけるアレクサの役割が、次の時代の宇宙探査を定義する未来の科学者や宇宙飛行士、エンジニアにインスピレーションを与えることを願っている」とコメントした。
月面に初の女性宇宙飛行士を送り込むことを目指すNASAのアルテミス計画は複数の段階に分かれ、1号計画では月を周回する無人飛行試験を、2号計画では有人飛行を実施する。NASAは当初、月面に着陸する3号計画について24年を目標としていたが、宇宙船の開発の遅れなどを理由に現在は25年以降にずれ込む見通しを示している。