AWS、米証券取引所ナスダックのクラウド全面移行支援(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0102Z0R01C21A2000000/
保存日: 2021/12/01 7:57

2021年12月1日 7:28

ナスダックは22年からオプション市場について基幹システムのクラウド化を始める=ロイター

【ラスベガス=白石武志】クラウドサービス世界最大手の米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は30日、米証券取引所ナスダックが北米で運営する基幹システムについてクラウドへの段階的な全面移行を支援すると発表した。米グーグルも11月上旬に米先物取引所大手と同様の契約を結んでおり、高い信頼性が求められる取引所でもクラウドの利用が広がっている。
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AWSが米ラスベガスで開催している年次会議の基調講演でアダム・セリプスキー最高経営責任者(CEO)が明らかにした。ナスダックが米国内で運営する特定のオプション市場について2022年をメドに基幹システムをクラウドに全面移行し、北米で運営するそのほかの取引所についても規制当局などと連携しながら段階的に採用を増やす。全面移行の期限は示していない。
ナスダックは取引所の周辺システムについて約5年前からクラウド化を進めてきた。「我々の市場に求められる低遅延や障害への耐性を維持できるという確信を得られた」(アデナ・フリードマン社長兼CEO)として、基幹システムについても自前のサーバーからクラウドへの切り替えを決めた。
クラウド市場でAWSと競合するグーグルは11月、米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループと10年間の契約を結び、基幹システムをクラウドに移行させると発表している。グーグルが持つ人工知能(AI)技術などを使い、リアルタイムのデータ分析サービスなどを提供できるようにする。

記者会見するAWSのセリプスキーCEO㊧とゴールドマンのソロモンCEO(30日、米ラスベガス)

AWSは30日、同社のクラウド上で稼働する金融機関向けのデータ管理・分析サービスを米ゴールドマン・サックス(GS)と共同開発し、プレビュー版の提供を始めたと発表した。AWSとの共同記者会見に出席したGSのデビッド・ソロモンCEOは「膨大な量のデータを分析してきた専門知識と経験を活用していく」と述べた。