JPモルガンCEO、中国共産党の存続巡る発言で「後悔」(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN24DCJ0U1A121C2000000/
保存日: 2021/11/25 7:55
2021年11月25日 2:43
ダイモン氏は「我々は中国共産党より長続きする」と発言(23日、米東部ボストン)=ロイター
【ニューヨーク=宮本岳則】米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は24日、中国共産党の存続に言及した自身の発言について「後悔している」との声明を発表した。同氏は前日の講演でJPモルガンが中国共産党より長続きするほうに賭けたいと冗談を飛ばし、波紋を呼んでいた。
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問題の発言は23日に米東部ボストンの講演会で飛び出した。米メディアによると、ダイモン氏は冗談と断ったうえで、「中国共産党は創設100周年を祝っているが、JPモルガンも同じ。私たちのほうが長く存続するほうに賭けたい」と述べた。共産党は1921年創立で、JPモルガンも同時期に中国に進出した。
米議会は人権や安全保障問題で中国共産党に厳しい姿勢をとっている。一方、中国側は共産党統治に対する批判に敏感だ。JPモルガンをはじめウォール街の大手金融機関は米議会の厳しい目にさらされながらも、中国当局と友好関係を築き、中国本土で事業を拡大しようとしている。
ダイモン氏は先週、JPモルガンの香港拠点を訪問した。新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以降、米銀トップが香港を訪れたのは初めてとみられる。香港は外国からの訪問者に対して厳しい隔離ルールを課しているが、短期滞在だったダイモン氏は適用除外を認められていた。
SNS(交流サイト)上ではダイモン氏の発言が話題になった。中国共産党系メディアの環球時報の胡錫進編集長はツイッター上で、ダイモン氏の発言を伝える英フィナンシャル・タイムズ(FT)の記事を紹介し、「私は中国共産党が米国より長く存続するほうに賭ける」とコメントした。
JPモルガンは火消しに回った。ダイモン氏は24日公表の声明で「あのコメントは後悔しているし、すべきではなかった。私は当社の強さと長寿を強調したかった」と釈明した。同社の広報担当者は、ダイモン氏が中国との建設的な経済対話を強く支持していると説明し、JPモルガンは中国事業にコミットし続けると強調した。
ダイモン氏も反響の広がりを深刻に受け止めているようだ。同日に追加のコメントを公表し、「国やその指導者、社会や文化の一部など、あらゆる集団を冗談でやゆしたり、中傷したりするのは決して正しいことではない」と述べた。さらに「このような発言は、今まで以上に必要とされている、社会における建設的で思慮深い対話を妨げる」と表明した。
世界最大の銀行を率いるダイモン氏は「ウォール街のご意見番」として知られる。金融危機を乗り切った大物経営者として尊敬を集める一方、率直な物言いはしばしば物議を醸してきた。2018年には「トランプ大統領を負かすことは可能だ。私は彼よりも頭が良い」と発言し、のちに撤回した。