金融所得課税強化に賛否 政府税調
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA193HT0Z11C21A1000000/
保存日: 2021/11/25 7:41
政府の税制調査会(首相の諮問機関)は19日、オンラインで総会を開いた。岸田文雄首相が「新しい資本主義」実現のための税制を諮問したのを受け、具体的な議論に着手した。出席者からは株式の配当や譲渡益にかかる金融所得課税の強化を巡り賛否が交錯した。
一橋大の佐藤主光教授は「格差是正か、税収確保の観点か、いずれにせよ金融所得課税の強化は進めていかざるを得ない」と述べ、少額投資非課税制度(NISA)など非課税投資枠の拡大と合わせて議論すべきだと主張した。課税を強化する場合は富裕層に対象を限った増税とすべきだとの意見も出た。
慎重論も複数出た。大和総研の熊谷亮丸副理事長は、家計の資産形成などに悪影響を与える可能性があるため「多角的な観点から冷静な検討が必要だ」と訴えた。現状20%の税率を5%引き上げると「富裕層よりも中低所得者の方が納税額が多くなる」と述べた。
このほか新型コロナウイルス対策での巨額の財政支出を賄うための財源確保の必要性を指摘する意見や「炭素税の考え方は早期に整理する必要がある」との声が上がった。
政府税調は中長期的な税制のあり方を議論する機関だ。現委員の任期である2023年1月までに中期答申を取りまとめることを目指す。各年度の税制改正は与党の税制調査会で決める。