円、一時2年10カ月ぶり安値 113円台前半
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB110KK0R11C21A0000000/
保存日: 2021/10/11 19:01

2021年10月11日 10:45

11日の外国為替市場で円相場が下落し、一時1ドル=113円台前半と2018年12月以来2年10カ月ぶりの円安水準を付けた。前週末に発表された9月の米雇用統計では米国の雇用情勢の底堅さが確認され、米長期金利が1.6%台まで上昇。日米金利差の拡大を背景にした円売り・ドル買いが広がっている。
市場では底堅い米雇用情勢を受け、米連邦準備理事会(FRB)が年内に金融緩和縮小に踏み切るとの見立てが広がっている。大規模な金融緩和を続ける日銀との金融政策の違いが意識され、円安・ドル高に進みやすくなっている。原油価格の上昇で貿易収支悪化が見込まれることや米債務上限問題が当面回避されたことも、円売り材料視されている。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
• 別の視点大規模な金融緩和を続ける日銀との違いが意識されているとのことだが、金融資産の増加幅はFRBの方がはるかに大きい。コロナ危機以降の日銀による資産買い入れは限定的で、資産拡大の主因は、銀行に対して満期が1年以内の資金を供給する新型コロナ特別オペだ。現在も増えているのは借りた銀行にプラスの付利が提供されるインセンティブがあるからだがこの特別オペも来年3月末で終了予定だ。長期国債などを買い入れるFEDの方が金融緩和は強力だ。FRBの方がテーパリングや利上げなど出口戦略を明確にしているため市場参加者に意識されやすいのだろうが、それだけ金融政策の枠組みとしては透明性が高いとも言えるのではないか。

2021年10月11日 11:48 (2021年10月11日 12:20更新)


• ひとこと解説内外金利差と並んで見逃せない円安要因があります。原油・天然ガスなどエネルギー価格の高騰です。いうまでもなく日本は資源輸入国。エネルギー価格の高騰は日本の輸入額を押し上げ、貿易収支を悪化させます。8月の時点で日本の貿易収支は赤字になっていますが、半導体不足などによる自動車などの輸出減が主因でした。秋以降、エネルギー高による輸入増の要因が加わり、貿易赤字の拡大が予想されます。貿易収支の悪化は円余剰・外貨不足をもたらしますから、為替市場で円安要因になります。 かくてエネルギー高と円安が日本経済に対する重石となる「悪い円安」が懸念されます。エネルギー高で国内所得が海外に吸い取られることに要警戒です。

2021年10月11日 15:08 (2021年10月11日 16:15更新)



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