台湾、APEC代表にTSMC創業者モリス・チャン氏起用
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM137GB0T10C21A7000000/
保存日: 2021/07/14 8:06

2021年7月13日 16:42

TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏が今年も、台湾のAPEC代表に指名された(台北市、4月)
【台北=中村裕】台湾の総統府は13日、ニュージーランド(NZ)が議長国として開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の代表に、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)の創業者である張忠謀(モリス・チャン)氏を起用すると発表した。中国の反対で、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が参加できないための措置となる。
張氏が蔡氏に代わって11月の公式の首脳会議と、それに先立つ16日の非公式の臨時首脳会議(オンライン形式)に参加する。張氏の起用は、4年連続5回目。TSMCの経営からは2018年に退いたが、台湾経済に今も影響力を持つ。
台湾にとって、米国や中国など21カ国・地域が参加するAPECは、国際社会と連携ができる数少ない枠組みとなっている。1991年に「中華台北(チャイニーズタイペイ)」の名義で、中国と同時に加盟した。
ただ、93年の首脳会議の初開催以降、中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」論を主張する中国の反対で、台湾のトップは参加ができない状況が続く。
蔡氏は13日、「APECは台湾が参加する最も重要な国際プラットフォームだ。(APECが連携し)アジア太平洋地域で、新型コロナ流行後の経済を1日でも早く回復させることを目指したい」と述べた。
さらに、16日に開催する臨時首脳会議では「APECは、加盟国がもっとワクチンを公平で迅速に入手できるよう、さらに努力すべきだということを張氏から提案する」と語った。台湾ではワクチン入手が遅れ、厳しい警戒措置が5月中旬から続く。経済活動の本格的な再開ができず、不安視する声も高まっている。