ビットコイン一時3万ドル割れ 中国の規制強化で(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22DBJ0S1A620C2000000/
保存日: 2021/06/24 8:00

2021年6月23日 0:26

ビットコイン価格の下落が続いている=ロイター
【ニューヨーク=後藤達也】暗号資産(仮想通貨)のビットコインが22日、一時3万ドルを割り込んだ。中国で取引などの規制強化が相次ぎ、価格上昇への期待が急速にしぼんでいる。4月に付けた史上最高値からは5割以上下落しており、含み損が膨らんだ個人投資家からの投げ売りも強まっている。
コインデスクによると、米東部時間22日午前10時(日本時間午後11時)時点のビットコイン価格は2万9200ドル程度で、24時間前と比べ10%以上下落した。3万ドルを下回るのは1月28日以来、約5カ月ぶりだ。イーサリアムやリップルなど他の主な仮想通貨も軒並み下げた。
中国人民銀行(中央銀行)は21日、銀行などに仮想通貨の取引に関連するサービスを提供しないよう指導した。中国当局はここ数カ月で取引やマイニング(採掘)の規制を相次いで打ち出している。米国でも採掘にかかる膨大なエネルギーや投機的な値動きに警戒を示す当局者が増加。2020年秋から急速に強まった投機熱が冷めてきた。
ビットコインは値動きの軽さから、個人投資家の投機的な売買も急増していた。だが最近は1日で10%以上値下がりすることも頻発しており、投資余力のなくなった個人が投げ売りする動きも広がっている。
仮想通貨関連企業のギャラクシー・デジタル・ホールディングスのマイケル・ノボグラッツ最高経営責任者(CEO)は22日、米CNBCに出演し、ビットコインには「大きな下振れ余地がある」と述べた。
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• ひとこと解説今回の中国政府によるビットコイン規制は過去数回の規制と異なり、本気度が高く、地方レベルにおいて政策の徹底した実施が求められている。内モンゴル、青海、四川などの地方政府も取り締まりに動き出した。膨大なエネルギー消費は問題であるが、国境を越えた資金の動きをコントロールする中央銀行の能力強化も狙いの一つであろう。こうした意味でビットコインは更に下振れの余地がある。


• ひとこと解説ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)の動向に要注目。 イーサリアム(ETH)を中心としたアルトコインも一緒くたに売られているが、今後は仮想通貨の脱炭素化とNFTなどブロックチェーン社会の広がりを後押しするアルトコインへと資金が向かうかに注目したい。ETHは昨年末からビットコインより環境負荷が低い承認システムPoSを採用するETH2.0に移行し始め、再エネをマイニングに使用する動きも加速している。日本政府は先週発表した新成長戦略実行計画で初めてブロックチェーンを国家戦略に組み込んだ。環境整備が強化されるNFTの主要取引通貨はETHであるが、ブロックチェーン社会の広がりは世界的潮流である。

2021年6月23日 8:10 (2021年6月23日 8:16更新)