「ウェブの父」、ソースコードを競売に NFT活用
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN160F50W1A610C2000000/
保存日: 2021/06/16 8:08
WWWの誕生30年にあわせて講演したティム・バーナーズ=リー氏(2019年3月、スイス・ジュネーブ)=AP
【シリコンバレー=奥平和行】「ウェブの父」として知られる英国出身の科学者、ティム・バーナーズ=リー氏がワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の動作手順を記したソースコードの「原本」を競売にかけることになった。非代替性トークン(ノンファンジブル・トークン、NFT)の仕組みを活用し、今月23日から30日まで入札に応じる。
競売大手の米サザビーズが15日に発表した。
同氏は1989年にWWWの仕組みを考案し、現在のインターネットの発展の礎を築いた。電子的に操作時刻を記録したHTMLなどのソースコード9555行に加え、同氏自身が開発について回顧した手紙、ソースコードを電子的に図示した「ポスター」などをまとめて出品する。最低価格は1000ドル(約11万円)に設定した。
NFTはブロックチェーン(分散型台帳)の仕組みを活用し、デジタルアート作品の取引記録などを記録する仕組みだ。鑑定書に相当し、「唯一無二」であることを証明できるようになる。バーナーズ=リー氏は声明で「ウェブの起源を保存するのに理想的な方法だ」と指摘し、ウェブの父が新技術にお墨付きを与える格好になった。
NFTはこれまでにもネットの「歴史」の売買に使われている。米ツイッターの創業者であるジャック・ドーシーCEOが今年3月、最初のツイートを競売にかけて291万ドルで落札された。バーナーズ=リー氏の出品はこれに次ぐものとなる。
初期のWWWのソースコードは既にネットを通じて公開されており、第三者が落札しても閲覧・利用できる状態が続く。ただ、競売にかけることにより落札した第三者が「専有」する形となり、技術を囲い込まずに誰もが利用できるようにすることで成長してきたネットの文化と相反するとの意見もある。