周小川氏、デジタル人民元「小売り決済優先」 アジアの未来
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB19CRO0Z10C21A5000000/
保存日: 2021/05/20 18:07

アジアを中心に政財界の要人が集まる博鰲(ボーアオ)アジアフォーラム副理事長の周小川氏(中国人民銀行前総裁)は20日、第26回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)でオンライン講演した。中国が実用化を目指すデジタル人民元について「国内の小売り決済を最優先に開発を進める」と述べた。そのうえで「小売り分野の技術革新を進めて効果が出れば、旅行者やビジネス関係者にとって、少額のネット購入などが便利になって人民元の国際化が一段と進むだろう」と展望を語った。
周氏は中央銀行に相当する中国人民銀行の総裁を2002~18年まで務めていた。周氏はデジタル人民元を巡り、セキュリティー、プライバシーの保護、マネーロンダリングの防止などといった課題があると指摘した。「外国為替、投資、金融市場でも改善の余地があり、新たな技術を導入する必要がある」と語った。ただ、当面は「主に小売り分野における性能の向上」を念頭に置いて開発を進めていると強調した。
中国は19年、主要国では初めてとなるデジタル通貨の発行を視野に入れ始めた。22年の北京冬季五輪までにデジタル人民元を正式発行する方針で、国内で実証実験を行い、通貨としての機能を果たせるかを検証している。お金の流れを捕捉しやすいデジタル通貨を国が発行・管理すれば、国民の監視を強めることができるとの指摘もある。
周氏は人口問題にも触れ「世界最大の人口を抱える中国にとって、人口は長期的な課題だ」と述べた。30~35年にピークを迎えるとの人口予測は「少し前倒しになりそうだ」と指摘しつつも、「中国政府にとって予想外の事態ではなく、さまざまな政策で対処している」と語った。定年年齢の引き上げや年金改革といった方策に取り組む必要があるとの考えを示した。
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