FOMC、資産購入縮小検討「今後どこかで」 4月議事要旨(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN19EK30Z10C21A5000000/
保存日:2021/5/20 4:24 (2021/5/20 7:10 更新)

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長=ロイター

【ワシントン=大越匡洋】米連邦準備理事会(FRB)は19日、4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開した。量的緩和の柱である米国債など資産購入の縮小(テーパリング)について「多くの参加者が、経済の急回復が続くなら、今後の会合のどこかで購入ペースを調整する計画を議論することが適切」との認識を示した。

4月27~28日のFOMCはゼロ金利政策の維持を決定。2020年3月に再開した量的緩和政策の継続もパウエル議長ら投票メンバー11人の全会一致で決めた。パウエル議長は会合後の記者会見で資産購入を減らし始める議論の着手について「まだそのときではない」と一蹴していた。

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議事要旨によると、FOMCが議論開始の条件として「最大雇用と物価安定の目標に向けてさらなる著しい進展があるまで」としている環境が整う時期を巡り、参加者に異論があることがうかがえる。「しばらく時間がかかる」との見方に対し、前回3月の「参加者が言及した」との表現が今回は「様々な参加者が言及した」に変わった。

財政出動と経済再開で景気が回復し、米国では物価上昇が加速している。会合参加者は前年の低迷の反動や原材料などの供給制約による「一時的」な要因でるとの従来の見方は崩さなかった。ただ「多くの参加者がサプライチェーン(供給網)のボトルネックが早期に解消しない可能性がある」と指摘。今年以降の物価にも上昇圧力がかかることへの警戒感を示した。

これに対し、雇用情勢についての見方は依然として弱い。所得水準や人種などによる不均衡があるほか、労働参加率の回復の鈍さなどから、参加者は「広範で包括的な最大雇用の目標にはほど遠い」との見方で一致した。

この会合後に公表された4月の雇用統計は就業者数の伸びが市場予想を大きく下回った。一方で、4月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比の上昇率が予想を上回る4%台に達した。インフレ懸念が高まる半面、雇用回復に時間がかかる局面で、パウエル議長はこれまで雇用情勢に重心を傾ける姿勢を示してきた。

議事要旨によると、参加者は「不確実性は高まった」との認識を示し、「結果ベース」で政策を判断すると繰り返した。市場予想が大きく外れた4月の一連の統計公表後、講演したウォラー理事は「FOMCは当面、金融緩和政策を維持する。もっとデータを見る必要がある」と語っている。

次回6月の会合から夏にかけてどこまで出口論の検討に向けた環境が整うかが焦点となる。