☆NY株ハイライト ナスダック指数2カ月半ぶり最高値 主力株に決算先回りの買い
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZASFL27H1Y_X20C21A4000000/
保存日:2021/4/27 7:24 [有料会員限定]

【NQNニューヨーク=戸部実華】26日の米株式市場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は2カ月半ぶりに過去最高値を更新し、前週末比121.968ポイント高の1万4138.776で終えた。今週相次ぐ決算発表を前に、主力ハイテク株に先回りの買いが入った。期待値が切り上がるなか、期待に応える業績で上昇相場を維持できるか重要な週になりそうだ。

今月半ばから始まった米主要企業の決算発表シーズンでは、市場予想を上回る内容の発表が多い。QUICK・ファクトセットによると、主要500社のうち4分の1が発表を終えた時点で、1株利益が市場予想を上回ったのは84%の企業となった。このまま決算発表シーズンを終えれば統計を遡れる2008年以来で最も高い比率だという。

主力ハイテク企業も好業績が見込まれている。前年同期比の増収率(市場予想)を列挙すると、27日発表のソフトウエアのマイクロソフトが2割弱、検索サイトのアルファベットが2割強、28日発表のスマートフォンのアップルとSNS(交流サイト)のフェイスブックがともに3割強、29日発表のネット通販のアマゾン・ドット・コムが4割弱。軒並み大幅増収が期待されている。

決算に先駆けアップルは26日、今後5年間の米国の投資計画を従来の3500億ドルから2割強多い4300億ドル超に引き上げると発表した。社屋の建設や拡張、物流や生産拠点の整備支援などに充てる方針だ。新規雇用は2万人を目指す。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「5Gや半導体開発、人工知能(AI)といった先端分野で雇用を創出する」と説明した。

主力ハイテク企業は収益力を高めている一方で雇用の貢献度が低いとの指摘もあり、市場では「投資増はこうした批判にも応えた形だろう」(インバーネス・カウンセルのティモシー・グリスキー氏)との受け止めがあった。米政権によるインフラ投資計画など経済対策もあり、バンク・オブ・アメリカは「(米企業の)力強い投資増を見込み、22年にかけて収益の伸びにつながる」と分析する。

市場では「短期的な調整はあっても相場の上昇トレンドは続く」(ナショナル・ホールディングスのアート・ホーガン氏)と楽観的な見方が多い。だが期待値が高まっているだけに、相場全体に影響しやすい主力ハイテク株の決算で「実績が予想を下回れば売り圧力は強まりやすい」(ホーガン氏)と慎重なまなざしも向けられている。

今週は決算発表ばかりではなく、重要日程が目白押しだ。バイデン米大統領は新たな経済対策と株式などの譲渡益(キャピタルゲイン)課税の強化方針を発表する予定。米連邦準備理事会(FRB)は27~28日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。政策変更は見込まれていないが、市場では「足元の景気回復でテーパリング(量的緩和の縮小)に関する見方に変化がないか見極めたい」との声もある。

投資家の楽観姿勢は強いものの、米主要株価指数が過去最高値圏で推移する中、重要イベントを波乱なく乗り切れるか。投資家は個別株の業績からマクロ経済に至るまで幅広い要素に目配りが必要な忙しい週が始まった。