鴻海、米工場の税優遇縮小で合意 ウィスコンシン州と(写真=AP)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN200AI0Q1A420C2000000/
保存日:2021/4/20 15:32
フォックスコンが18年にウィスコンシン州で開いた起工式にはトランプ前大統領も出席した=AP
【シリコンバレー=白石武志】台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)は19日、米中西部ウィスコンシン州の工場について総額40億ドル(約4400億円)とされる税優遇措置を縮小することで同州政府と合意した。同工場は約束した雇用を創出しておらず、州政府は当初計画を前提とする契約の見直しを求めていた。
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ウィスコンシン州政府が19日、フォックスコンと税優遇契約の見直しで大筋合意したと発表した。詳細は同州の経済開発公社が最終決定するとして明らかにしていないが、米メディアは税優遇の規模は1000万ドル前後にまで縮小される可能性があると報じている。
フォックスコンは2017年、約100億ドルを投じてウィスコンシン州南東部に最新鋭の液晶パネル工場を建設し、1万数千人を雇用する計画を表明していた。同州政府はウオーカー前知事(共和党)時代に法人税や売上税の減免など最大40億ドル規模とされる税優遇契約を結び、18年の起工式には米製造業の復活を掲げるトランプ前米大統領も出席した。
フォックスコンはその後、同工場における生産品目を中小型液晶パネルやサーバー部品、人工呼吸器などへと繰り返し変更しており、建屋の完成後もほとんど稼働していない状態が続いていたとされる。工場誘致策を批判し、18年の州知事選でウオーカー氏を破ったエバーズ知事(民主党)はフォックスコンに対し税優遇契約の見直しを求めていた。
フォックスコンは電子機器の受託製造サービス(EMS)大手で、米アップルからスマートフォン「iPhone」の組み立てを請け負っていることで知られる。米国への大規模投資はウィスコンシン工場が初めてだった。フォックスコン幹部は3月にはウィスコンシン州について電気自動車(EV)の受託生産拠点の立地先の候補になっていると明らかにしている。