半導体装置販売、中国が最大市場に 20年は過去最高
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC142160U1A410C2000000/
保存日:2021/4/14 11:41 (2021/4/14 12:50 更新) [有料会員限定]
半導体業界の国際団体のSEMIは14日、2020年の半導体製造装置の世界販売高が前年比19%増の約712億ドル(約7兆7000億円)と過去最高になったと発表した。半導体の国産化を進める中国が初めて最大市場になった。半導体不足が深刻化するなか、中国の存在感が高まる。一方、米国は半導体供給で「脱中国依存」の姿勢を強めており、半導体をめぐる対立は激しさを増す。
半導体需要の増加を受け、製造装置の引き合いも高まる
中国市場での装置販売額は前年比39%増の187億2000万ドルだった。高速通信規格「5G」の普及や新型コロナウイルスによる巣ごもり需要で、半導体受託生産会社(ファウンドリー)などでの投資が旺盛だった。
20年には中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)などが米政府の制裁対象になったが、中国メーカーの勢いは衰えない。SMICは中国政府系ファンドと共同で76億ドルを投じて北京に新工場を建設する計画を打ち出している。他のファウンドリーやメモリーメーカーも積極投資の構えだ。
世界で深刻化する半導体不足も中国の半導体生産の追い風になる。家電機器や自動車向けの半導体では、中国に生産を委託する企業も少なくない。米国半導体工業会(SIA)によると、20年の中国の半導体製造能力は世界で15%を占める。先端半導体では技術的な遅れはあるものの、着実に力を付ける。
こうした動きに危機感を抱くのが米国だ。5Gや人工知能(AI)などで半導体の重要性が高まるなか、米国は自国での半導体の増産にかじを切る。バイデン政権は2月、半導体など重要部材の供給網を見直す大統領令に署名したほか、半導体の国内生産に向け500億ドルを補助する法案を掲げている。
米半導体大手のインテルは3月、米西部アリゾナ州に200億ドルを投じて新工場を設ける計画を発表している。他社の製造を請け負うファウンドリー事業に参入し、国内生産を増強する。
製造装置の需要拡大を見越し、半導体製造装置メーカー各社は増産に向けた体制を整えている。半導体製造装置大手の東京エレクトロンは20年に山梨県や岩手県の新生産棟を相次いで稼働したほか、同業のディスコは茅野工場(長野県茅野市)の新棟を4月から稼働を開始する。「需要の落ち込みがなく、20年から工場はフル稼働のままだ」(同社)と手応えを感じる。日本半導体製造装置協会(SEAJ)の関係者は「21年も市場成長が期待できる」と話す。
装置市場で2位の台湾は171億5千万㌦と前年比微増だった。前年に引き続いてファウンドリー向けの投資が好調だった。受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、21年に過去最高の280億㌦の設備投資を予定する。
3位の韓国はメモリー需要の増加を受けて、前年比61%増の160億8千万ドルだった。韓国サムスン電子の半導体部門の設備投資額は21年に初めて3兆円を超える見通しだ。
(佐藤雅哉)