韓国ソウル・釜山市長選、野党候補が大勝 (写真=AP)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM06DJF0W1A400C2000000/
保存日:2021/4/7 12:00 (2021/4/8 5:34 更新)
7日夜、ソウル市長選で当選を確実にした保守系野党「国民の力」の呉世勲氏(左から2人目)=AP
【ソウル=恩地洋介】韓国で来春の大統領選の前哨戦と位置づけられる首都ソウルと第2の都市、釜山の両市長選が7日、投開票され、いずれも保守系最大野党「国民の力」の候補の当選が確実になった。両市長選に出馬した革新系与党「共に民主党」の候補はそれぞれ敗北を認めた。与党候補の大敗により、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の求心力が低下するのは必至。来年3月の大統領選に向けた与野党の党勢や候補者選びにも影響が出るとみられている。
ソウル市長選は「共に民主党」の朴映宣(パク・ヨンソン)前中小ベンチャー企業相と、「国民の力」の呉世勲(オ・セフン)元ソウル市長の一騎打ちだった。韓国KBSテレビなど放送局3社が出口調査を基に予想した得票率は、呉氏が朴氏を20ポイント超上回った。朴氏は7日夜、記者団に「謙虚な気持ちですべてを受け止める」と敗北を認めた。
放送局3社の予想得票率によると、釜山市長選も「国民の力」の朴亨埈(パク・ヒョンジュン)元大統領府政務首席秘書官が「共に民主党」の金栄春(キム・ヨンチュン)前海洋水産相を2倍近く引き離した。金氏は7日夜「結果を謙虚に受け止める」と述べた。
与党候補の大敗の背景には、任期満了まで約1年となった文大統領の政権運営への国民の不満が高まっていることがある。最近は多くのスキャンダルに見舞われ、支持率が下がり続けていた。韓国ギャラップが2日に公表した文政権の支持率は過去最低の32%だった。
主要な選挙で惨敗続きだった保守勢力は、久々に優位な立場で選挙戦を展開した。保守勢力は2016年以降の国政選挙や統一地方選でことごとく敗北しており、首都圏では国会議員や首長の大半が革新勢力で占められている。
今回の結果を踏まえ、韓国政治の焦点は各政党の大統領選候補者を選ぶ党内選挙に移る。共に民主党は、支持の回復に向けて党の中枢を占める親文在寅派が誰を推すかがポイントになる。
国民の力は党内に有力候補が見当たらないのが現状で、文政権と対立して辞任した尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長を擁立する動きが強まるとみられる。都市部で支持を得る中道勢力との再編も取り沙汰される。