NY株最高値、金利上昇に耐久力(NY特急便)(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01GAD0R00C21A4000000/
保存日:2021/4/2 6:21

S&P500種株価指数は史上最高値に=ロイター

米国株市場に明るさが戻っている。S&P500種株価指数は1日、2週間ぶりに史上最高値を塗り替え、初めて4000の大台を付けた。2~3月の株価調整の主因となった長期金利の上昇にやや落ち着きが出てきたことで、マネーは再びリスク資産に向かいやすくなっている。

1日の米国株で上昇が目立ったのは主力のIT(情報技術)株だ。アルファベットやマイクロソフトが3~4%上昇。エヌビディアやネットフリックスなど2020年に大きく上昇した銘柄もおおむね堅調だった。IT株の多いナスダック総合指数の上昇率は1.76%と主要株価指数のなかで最も大きかった。

ナスダック株は金利上昇を起点に2~3月に調整色を強めたが、先週以降は警戒感が薄れてきた。ナスダック市場の株安懸念を移すVXN指数は23台と3月4日に付けたピークから14ポイント低下。2020年2月24日以来と、新型コロナウイルスが米国で大流行する前の水準となった。S&P500の恐怖指数VIXも17台とコロナ流行後で最低となった。

米長期金利の上昇に一服感が出始めたことが株式投資家の心理を明るくしている。3月中旬までは景気急回復やインフレ加速の思惑から長期金利は急ピッチで上昇してきた。その後も約1年ぶりの高水準近辺で推移しているが、上昇の勢いはこの2週間ほどで鈍くなってきたのだ。

「慌てて米国債を売る投資家はほとんどいなくなってきた」。債券トレーダーや機関投資家の間でこうした声が増えている。米10年物国債の利回りは1.6~1.7%となり、S&P500の予想配当利回り(1.4%程度)を上回る。安全資産の利回りとして相対的な魅力が高まっており、年金や投資信託から買い注文が回復しているという。

米国野村証券の雨宮愛知氏は「景気回復を映した緩やかな金利上昇であれば、経済や株式相場への大きな逆風にはならない」と指摘する。長期金利は1~3月に大きく上昇したとはいえ、コロナが直撃した2020年を除けば歴史的に低水準だ。政府の経済対策も強力で、企業や家計の経済活動や資金繰りが滞るリスクは低い。

年明けから資金流出が目立っていた低格付け社債の上場投資信託(ETF)にも資金が戻りつつある。3月31日には国債と低格付け社債の利回り差(スプレッド)はコロナ流行以降で最低となった。国債金利が上昇する一方でスプレッドが縮まっており、社債金利の上昇は和らげられている。

1日発表された3月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は64.7と市場予想(61.3)を大きく上回り、約37年ぶりの高水準となった。それでも米10年債は1.67%と前日より0.06%低下した。3月までに金利水準が大きく上がった分、強い経済指標が出てもさらに金利上昇に拍車がかかるという事態も起こりづらくなった。

2020年は超低金利が投資家心理を支える「金融相場」だった。1~3月には金利が急上昇し、投資家心理が揺らいだが、新たな四半期は景気回復と緩やかな金利上昇、そして株価の上昇が共存する「業績相場」の色合いが出始めている。(ニューヨーク=後藤達也)