NY株ハイライト インフラ投資計画に沸くEV テスラ5%高、充電設備関連も急騰
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZASFL01HQG_R00C21A4000000/
保存日:2021/4/1 7:17 [有料会員限定]
【NQNニューヨーク=戸部実華】3月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落した。前日比85ドル安の3万2981ドルで終えた。月末最終日とあって上昇が目立った景気敏感株に利益確定売りが優勢となったが、相対的に出遅れていたハイテク株には買いが入り、相場全体を支えた。とりわけ、バイデン米政権のインフラ投資計画の恩恵が期待される半導体関連や電気自動車(EV)関連株には積極的な買いが入り、再び市場の脚光を浴びている。
「2030年までにEVの充電設備を50万カ所に設ける」。バイデン米大統領の演説に先立ち、米ホワイトハウスが31日公表した声明にはこう記された。8年間で2兆ドル規模をあてるインフラ投資計画では、道路や橋の修復など交通網の整備に6210億ドル、サプライチェーン(供給網)の強化など製造業の振興に3000億ドル、電力網の刷新に1000億ドルなどを盛り込む。
気候変動対策の一環としてEV向けには1740億ドルを注ぎ込む方針だ。地方政府や企業への補助金などに加え、政府機関の車両をEVに切り替える方針も示している。米主要自動車メーカーで組織する米国自動車イノベーション協会(AAI)は30日公表したEV振興策をまとめた米大統領宛ての書簡で、米国でのEV販売比率が2%にとどまっている点を指摘。政府の支援が不十分とし、EV関連の強化を念押ししていた。
インフラ投資計画が実現すれば業績が拡大するとの期待から、31日の米株式市場ではテスラが5%高となったほか、EV充電設備を手掛けるブリンク・チャージングは11%高となった。米エネルギー省によると、米国にある公的なEVの充電所は4万カ所を超えるとされる。インフラ投資が計画通りに進んで50万カ所となれば、現在の12倍強に増える計算で関連企業への恩恵も大きい。
充電所を運営するチャージポイント・ホールディングスは19%高と急騰した。米証券のカウエンは「今後10年は米国内で60~70%のシェアを維持する」と予想し、最も買いを推奨する「トップピック」銘柄に挙げる。EV市場の拡大を背景に「充電事業は30年に160億ドル規模に成長する」と見込み、目標株価は31日終値を61%上回る43ドルとしている。
EV市場拡大の機運は今後の関連企業の新規上場も後押ししそうだ。10年に設立し、34州で充電設備を構えるEVgoサービシズはSPACを通じて近く上場する見通し。ゼネラル・モーターズ(GM)など自動車メーカーのほか、配車サービスのウーバーテクノロジーズとも提携を組み、今後の成長に意欲的だ。
しかし、大規模なインフラ投資計画の財源は企業増税で確保する戦略で、前政権が35%から21%に引き下げた連邦法人税率を28%に引き上げる見通しだ。共和党は増税に反対し、市場では「どれくらい計画が実現するのか、増税の影響とあわせて見極めたい」(インバーネス・カウンセルのティモシー・グリスキー氏)との雰囲気も漂う。
EV市場の拡大を巡っても「EV投資は人気だが、普及や充電設備の整備など長い時間を要する」(キングスビュー・アセットマネジメントのポール・ノールト氏)と慎重な声も聞かれる。今後の政策の実現性や普及のペースを見極める必要はあるが、EV市場への期待は高まっている。