住宅ローン減税、小規模物件は1000万円の所得制限
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67037600U0A201C2EA4000/
保存日: 2021/03/19 9:05

2020/12/5 0:00 (2020/12/5 5:13 更新) [有料会員限定]

床面積50平方メートル未満の場合は1千万円の所得制限を設ける方針

政府・与党が2021年度税制改正で検討する住宅ローン減税の見直しの全容が判明した。13年間の控除が受けられる特例は入居期限を22年末まで延長する。対象物件の面積要件も緩和し、戸建て・マンションとも床面積50平方メートル以上から40平方メートル以上に広げる。50平方メートル未満の場合は1千万円の所得制限を設ける。

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近く与党の税制調査会で最終決定し、10日ごろにまとめる与党税制改正大綱に盛り込む。

住宅ローン減税は、10年間にわたり借入残高の1%を所得税から控除する制度。19年に消費税率を10%に引き上げた際に導入した特例措置で、20年12月までに入居した場合は13年間控除を受けられるようにしていた。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、20年9月末までの契約などを条件に、21年末までの入居者に同じ特例を認める弾力化措置も設けている。

この特例を延長し、22年末までの入居を税優遇の対象にする。契約から入居まで一定の時間がかかる場合も多いためだ。新築注文住宅は21年9月末、マンションや中古住宅は同11月末までの契約が条件になる見通しだ。

消費者の購入時の負担軽減に加え、新型コロナで打撃を受けた住宅販売をてこ入れする狙いがある。自民党税制調査会の甘利明会長は、かねて住宅や自動車の購入時の税負担を軽減する意向を示していた。

面積要件も緩和し、新たに40平方メートル以上50平方メートル未満の物件も対象に加える。従来の要件である床面積50平方メートル以上は、3人家族で住む3LDKのマンションなどが主な対象だ。夫婦だけで住む場合なども想定し、小規模物件の購入も税制で後押しできるようにする。

都市部の小規模物件を投資目的で転売するようなケースは税制優遇にそぐわないため、1千万円の所得制限を設ける。

住宅ローン減税の「1%控除」の仕組みについては会計検査院が低金利時代に合わないと問題視している。借入金利が控除率の1%を下回ると、控除額が支払利息額を上回る「逆ざや」のような過度な恩恵を受ける人が出る場合があるためだ。

政府・与党は21年度改正では現行の控除額の仕組みを維持する一方、22年度にも見直す方針を税制改正大綱に明記する方向で調整している。

実際に支払った金利分が借入残高の1%に満たない場合は、利払い分のみを控除するといった案を検討している。自民党の税制調査会も、こうした案を含めた見直しの方向性で大筋で一致している。22年度改正に向けた21年冬の議論で制度の抜本改革に着手する可能性がある。