鴻海、北米にEV工場を建設へ 年内に立地決定
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM16BLZ0W1A310C2000000/
保存日: 2021/03/17 13:50

2021年3月16日 21:30

鴻海の劉董事長は、北米にEV新工場を計画していることを明らかにした(16日、台北市)=ロイター
【台北=中村裕】台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は16日、同社初の電気自動車(EV)工場を、北米に建設する方針を明らかにした。メキシコまたは米ウィスコンシン州で調整しており、年内に最終決定する予定だという。米アップルのスマートフォン、iPhoneの大量生産で成長してきた鴻海のEV参入計画が具体化してきた。
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経営トップの劉揚偉董事長(会長)が明らかにした。鴻海が工場立地に言及するのは初めて。生産するのは独自ブランドではなく、受託が中心になる見込み。年内に建設地を最終決定すれば、2022年にも着工し、23年には新工場が完成する見込みだ。
供給先は明らかにしなかったが、劉氏は「米国の自動車メーカーと現在、話を進めている」と語った。
アップルが投入を検討しているとされるEV「アップルカー」を、鴻海が受託生産するとの多くの報道については「臆測だ」とだけ述べた。鴻海はiPhoneの6割強の生産を担っているため、新規参入するEV事業でも両社は協力するという見方が多い。
鴻海はEV参入にあたり、他社との提携を矢継ぎ早に進めている。1月には、中国自動車大手の浙江吉利控股集団とEVで全面的に提携すると発表したほか、中国新興メーカーの拝騰(バイトン)とも同社のEVを量産することで提携した。
2月には米新興メーカーのフィスカーと提携し、同社向けのEVを2023年に量産、供給することで基本合意した。大手の欧州ステランティスとも現在、EVの合弁会社設立で「最終合意に向け、協議を進めている」(劉氏)という。
鴻海は、長年手掛けてきたiPhoneなどの製品の受託生産に代わる次の収益の柱を育てようと、近年はEVに照準を定め、計画を進めてきた。「MIH」と呼ばれるEVを生産するオープンプラットフォームを作り、EVの新車投入を容易にするサプライヤーの基盤も独自に作った。現在すでに約900社が参加を表明し、EVのサプライヤー網の構築を急いでいる。
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• ひとこと解説フィスカー向けEVを生産するのだろう。 フィスカーと交わした覚書によると、鴻海は研究開発から生産まで24か月費やした後、フィスカーEVの生産を2023年第4四半期に開始する。なぜウィスコンシン州か。台湾の業界関係者によると、鴻海は昨年の大統領選挙前、BLM運動の渦中の同州における雇用創出を、トランプ陣営にアピールしたようだ。 MIHのパートナー企業が集う、初めての会合が3月25日に開催されるもよう。このタイミングの方針発表は、同会合に向けてメンバーの士気向上を図る意味合いもある。 日本のMIH参画企業は、NTT、ブリヂストン、アイシン、日本電産、村田製作所、ローム、ティアフォーなどである。


• 貴重な体験談鴻海精密工業は2017年、ウィスコンシン州に液晶パネル工場の建設を発表し、翌年にトランプ前大統領も招待して大々的な起工式をしました。15000人の雇用創出という激戦州でのアピールにトランプ氏も気を良くしていましたが、実際には液晶パネルの需要頭打ちで事業は立ち往生。2019年秋に車で現地を訪れると、管理棟と工場1棟の外壁だけが遠くに見える以外、平たく造成された更地が広がるばかり。万単位の雇用を生むとはとても思えませんでした。 2021年、バイデン政権のもと、気候変動を否定するトランプ氏が見向きもしなかったEVの生産拠点として活路が見いだされようということなら、なんとも皮肉な展開です。