マンション購入「値上がり期待」は危険 投資目的もNG|WOMAN SMART|NIKKEI STYLE
作成者: 日本経済新聞社・日経BP社
ソース: https://style.nikkei.com/article/DGXMZO69367040U1A220C2000000/
保存日: 2021/03/14 1:17
いいえ

マンション購入の相談を受けていると、時にあまりにも漠然とした質問をされることがあります。
はっきり言って、そんな質問には答えようがありません。
ということを言う人もいます。誰でもそう考えますし、あわよくば値上がりしてくれれば、中古で売ったときに売却益でもうかるかもしれません。

大都市のマンションに含み益

2013年から8年間、大都市の中心エリアのマンションはほとんど値下がりしていません。むしろ値上がりした地域も多くあります。
例えば、東京都の山手線の内側なら、この8年で1.5倍から2倍ほど値上がりしました。このため、ここ10年以内に東京の都心やその周辺でマンションを買った人のほとんどに含み益が生まれています。売却することで、それを現金化した人も大勢います。
しかし、これから先も価格の上昇が続くとは限りません。もしかしたら、平成の大バブルが崩壊した後の1990年代の後半や、リーマン・ショック後の不況に見舞われた08年以降の数年間のように、下落局面がやってくるかもしれないのです。

下落局面、ほぼすべてのエリアで値下がり

不動産市場が下落局面に入ると、ほぼずべてのマンションの資産価値が同時に下がります。だから先ほど「値下がりしてほしくない」と質問した人が買ったマンションも、資産価値が下落するでしょう。
マンションに関して意見を表明する専門家の中には、値上がりするエリアもあればそうでないところもある、といったことを唱える人もいるようです。
こういう考え方に私は同意できません。それは前述の2回の下落局面で、ほぼすべてのエリアで値下がりが起こっていたからです。
マンションを購入するというのは、そのようなリスクを背負うことでもあります。しかし、考え方によってはリスクが顕在化しないような買い方もあります。それは「長く住むつもりで買う」という手法です。

「長く住む」ことでリスクは顕在化しない

例えば、若いカップルがマンションを購入し、そこで子どもを育て上げ、定年後の引退生活も過ごすとなると、「売る」という場面は訪れません。そのマンションで一生を過ごせば、売る主体となるのは、相続した子どもになります。
あるいは健康上の理由で施設に入る際、初めて売ることを経験するかもしれません。しかし、それほど長く住んだマンションは、俗な言い方をすれば「十分に元を取った」状態ではないでしょうか。購入してから30~40年も住んだとすると、同じような住居に賃貸で住み、家賃を払い続けた場合も総コストはかなり安くなるはずです。