住宅ローン減税、コロナで特例 入居要件21年まで延長
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65020620V11C20A0W07000/
保存日: 2021/03/14 1:53

ローンを組んだ住宅の購入や増改築が対象となる住宅ローン減税。消費税率の引き上げで適用期間が延長されたが、新型コロナウイルスの影響で工事や入居遅れが相次ぎ、適用期間の条件を緩和する特例措置が設けられている。

住宅資金は、教育資金や老後資金と並んで人生の三大支出に数えられる。減税で戻るお金は家計にとっても貴重な臨時収入だ。税額控除を受けるためには、住宅取得した年の翌年の確定申告で所定の書類を提出する必要がある。2年目以降は、会社員や公務員は年末調整で勤務先で申請できるようになる。

住宅ローン減税は年末時点の借入残高の1%が所得税や住民税から控除される。控除額には上限があり、一般住宅は年間最大40万円、耐震性など一定の条件を満たした認定住宅は年間最大50万円だ。

所得税の額が控除額より少なかった場合は、前年の所得税の課税所得金額×7%(上限13万6500円)を住民税から控除できる。

詳細は税務署や税理士に要確認だが、対象となるには所得や借入金、床面積などの条件がある。「減税を受ける年の所得が3千万円以下」「登記簿上の床面積が50平方メートル以上」「償還期間が10年以上」といった具合だ。中古住宅の場合は築年数の条件もある。

新規の取得だけでなく増改築工事の費用も対象になるが、補助金などを控除した工事費が100万円超などの条件がある。増改築工事に関しては、バリアフリー改修や省エネ改修、多世帯同居改修などに対する控除の制度も設けられている。該当する要件や控除額の試算も含め、専門家に相談してから判断しよう。

2019年10月の消費税率引き上げに伴う住宅取得の支援策として、住宅ローン減税の控除期間は10年から13年に延長された。

住宅価格5千万円、頭金500万円、4500万円借り入れ(機構団信付フラット35「買取型」、金利1.3%、元利均等返済、融資率9割以下)の場合を見てみよう。控除期間13年だと、一般的な住宅の控除額の合計は最大約457万円、認定住宅は同じく約463万円。控除期間10年に比べ、いずれも約78万円得になる。

コロナ禍で特例措置が設けられたのは、控除期間の延長に関する居住時期の条件。もともと住宅ローン減税を受けるには「取得日から6カ月以内に入居」「控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住」の条件があり、控除期間の13年への延長も、20年12月31日までの入居が条件だった。ところが工事の遅れや不動産業者の営業自粛が相次ぎ、条件が緩和された。

新型コロナの影響による入居や工事の遅れの場合、契約時期などの条件を満たせば入居は「21年12月31日まで」先送りできる。契約時期に関する条件は、注文住宅の場合「20年9月末までの契約」、分譲・中古住宅の場合は「20年11月末までの住宅取得か増改築工事の請負契約」だ。「住宅取得日から5カ月後までの請負契約」などの条件を満たせば、工事完了後6カ月以内に入居すればいい。

入居の遅れを証明する書類は国土交通省のホームページに掲載されている。「既存住宅の取得後に増改築等を行った場合」など、状況に応じた書類に事業者か本人が記名押印し、確定申告の際に税務署に提出する。契約時期の確認のため、請負契約書や売買契約書の写しも必要だ。

住宅設備の納品が遅れている場合も、完了検査を実施して住宅が引き渡されるようになった。購入者側にとっては早く引っ越しができるメリットもあるが、注意が必要だ。住宅設備の納品遅れがいつまでに解消されるのか、設備が到着するまで代替品の用意はできるのかといった点を業者に書面で確認しておこう。

住宅ローン減税の特例措置の延長を検討するとの報道も出ている。先行き不透明な時代だが、税制の行方も注目しつつ、経済的負担を減らす対策を考えたい。

(ファイナンシャルプランナー 小田 誠)