米株最高値、インフレ鈍化で利下げ期待継続 ダウは続落 – 日本経済新聞
作成者:
ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12ER30S4A610C2000000/
保存日: 2024/06/13 7:59
いいえ
12日はS&P500とナスダック指数が最高値を更新した(ニューヨーク証券取引所)=ロイター
【ニューヨーク=斉藤雄太】12日の米株式市場で主要な株価指数のS&P500種株価指数とナスダック総合株価指数が上昇し、連日で最高値を更新した。朝方発表のインフレ指標が予想以上に減速し、米連邦準備理事会(FRB)が年内に複数回利下げするとの期待が高まった。同日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は年内の利下げを1回にとどめる中心シナリオを示したが、投資家の強気姿勢は大きく変わらなかった。
S&P500は前日比0.9%高の5421.03で取引を終えた。ハイテク株中心のナスダック指数は1.5%高だった。ダウ工業株30種平均は取引時間中に前日比300ドル超上昇する場面もあったが、終値は35ドル(0.1%)安だった。
朝方発表の5月の米消費者物価指数(CPI)は総合指数の前年同月比上昇率が3.3%、食品・エネルギーを除くコア指数の上昇率が3.4%で、いずれも市場予想を上回る減速をみせた。FRBの利下げ期待の高まりで幅広い年限の米国債利回りが低下(価格は上昇)し、投資家の株買いを誘った。
午後に結果を公表したFOMCは、参加者の政策金利見通し(中央値)で24年中に「1回」の利下げ予想を示した。年3回の利下げという3月時点の予想から大きく後退し、市場で優勢だった年2回との見方と比べても「(金融引き締めに前向きな)タカ派的な予想変更だ」(米証券ジェフリーズ)との声が上がった。
もっともFOMC後の記者会見で、パウエル議長は朝方のCPIを「(インフレ鈍化という)正しい方向への一歩」と評価し、今後の利下げの道筋は経済データ次第との考えを繰り返し述べた。25年の利下げ予想回数が3月よりも増えたことに言及し、今年見込まれた利下げが来年にずれ込むだけとの認識も示した。
FRBが過度にタカ派に傾いたわけではないとの見方から、金利先物市場(12日夕時点)ではFRBが次々回の9月会合で最初の利下げに動くという織り込みが前日より強まった。年内に2回以上の利下げをするという確率も6割と、前日(5割)より高まった。
12日のニューヨーク外国為替市場では、対ドルの円相場が1ドル=156円70銭程度と東京市場の終値より50銭ほど円高・ドル安に振れた。