イーライ・リリー、肥満症薬で増収増益 株価1年で2倍に – 日本経済新聞
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN06DXG0W4A200C2000000/
保存日: 2024/02/07 7:46

23年11月にFDAが承認したイーライ・リリーの肥満症治療薬「ゼプバウンド」=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】米製薬大手のイーライ・リリーが6日発表した2023年10〜12月期決算は、純利益が19%増の21億8960万ドル(約3200億円)だった。同社の糖尿病薬と肥満症薬の販売が急拡大し、売上高も1株利益も市場予想を上回った。一団の需要拡大へ期待が高まっており、株価は過去1年で約2倍に膨らんでいる。
売上高は28%増の93億5340万ドルだった。糖尿病薬「マンジャロ」(一般名チルゼパチド)の好調が増収の主因となった。マンジャロの売上高は前年同期の8倍となる22億560万ドルだった。この薬は減量効果もあるとして、米国で肥満症薬としても使用されている。
23年11月には米食品医薬品局(FDA)が肥満症治療薬「ゼプバウンド」を承認し、12月5日から米国内の薬局で同治療薬の販売も始まった。ゼプバウンドは発売間もないが、販売額は1億7580万ドルにのぼり、全体の増収に貢献した。
イーライ・リリーは肥満症薬の利用拡大をめざして独自の販売促進用サイトを設置した。ゼプバウンドについては患者が勤務先企業から医療費をカバーしてもらえるように働きかけているという。
乳がん治療薬「ベージニオ」や糖尿病薬「ジャディアンス」も好調だった。24年1〜3月期にはアルツハイマー病薬の「ドナネマブ」のFDA承認も見込む。これらの新薬が寄与し、24年12月通期は売上高が前期比18〜21%増の404億〜416億ドルとなる見通しだ。
株式市場では新薬の成長を見込む投資家が増えており、イーライ・リリーの株価は6日に前日比5%高の一時742ドルまで上昇し、最高値を付けた。23年11月に「ゼプバウンド」の承認を受けてから株価の上昇に弾みが付いており、過去1年間で株価は約2倍に急騰した。
JPモルガン・チェースのアナリスト、クリス・ショット氏はマンジャロの販売拡大に加え、24年にゼプバウンド、25年以降にドナネマブの本格展開が始まると指摘。イーライ・リリーの業績は「市場予想を上回り続ける期待が高まっている」と評価した。