NYダウ続伸、インフレ鈍化が追い風 ハイテク株に買い – 日本経済新聞
作成者:
ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN00001_V11C23A1000000/
保存日: 2023/11/15 7:55

2023年11月15日 5:22

【NQNニューヨーク=稲場三奈】14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比489ドル83セント(1.42%)高の3万4827ドル70セントと、9月中旬以来の高値で終えた。朝発表の10月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を下回り、米追加利上げ観測が一段と後退したことで買いが広がった。
10月のCPIは前月比で横ばいと、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.1%上昇)を下回った。エネルギー・食品を除いたコア指数は0.2%上昇し、市場予想(0.3%上昇)以下だった。コア指数の前年同月比の上昇率は4.0%と、市場予想(4.1%)を下回った。インフレの鈍化を示す内容で、米連邦準備理事会(FRB)が高い政策金利を長く維持するとの見方が薄れた。
市場では、「このところの株高を一段と支える良い内容だった」(インガルズ・アンド・スナイダーのティモシー・グリスキー氏)との声があった。シカゴ連銀のグールズビー総裁も14日午後に米経済団体が開いたイベントで、10月のCPIは「なかなか良い」と話し、インフレ目標達成に向けてゆっくりだが確実に進んでいるとの見方を示したと伝わった。
米債券市場ではCPIの発表後に長期金利が大幅に低下(長期債価格は上昇)し、4.4%台前半まで下がる場面があった。株式の相対的な割高感が薄れたのもハイテク株を中心に株式相場の追い風となった。米景気の大幅な悪化が避けられるとの観測から、化学のダウや建機のキャタピラーといった景気敏感株にも買いが入った。
その他の個別銘柄では、製薬のメルクやソフトウエアのマイクロソフトも上昇。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も買われた。市場予想を上回る四半期決算を発表したホームセンターのホーム・デポは5%高で終えた。一方、医療保険のユナイテッドヘルス・グループと保険のトラベラーズは売られた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。前日比326.638ポイント(2.37%)高の1万4094.381と、8月上旬以来の高値で終えた。決算発表を控えアナリストから強気な見通しがあった画像処理半導体のエヌビディアは10日続伸した。電気自動車のテスラやネット通販のアマゾン・ドット・コムも上げた。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
• ひとこと解説この日の米国株大幅高は、米長期金利の大幅低下ゆえに実現したもの。発表された米10月消費者物価指数(CPI)が、総合、コア(除く食品・エネルギー)ともに予想比下振れとなり、インフレ率の鈍化基調が続いていることを明確に示した。これにより、FRBの追加利上げはもはや想定されず、今回の局面における利上げは7月が最後ということを、市場は確信した。24年中のFRBの利下げは4回ほど織り込まれている。米国債利回りは各年限で大幅低下。米10年債利回りは一時4.43%まで低下し、取引終了時は4.45%になった。節目とみられる4.5%を下回ったことは大きい。もっとも、FRB高官の発言に「利下げの匂い」はまだない。

2023年11月15日 7:47 (2023年11月15日 7:48更新)