新NISAで起きる3つの「投資のパラダイムシフト」 – 日本経済新聞
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB192250Z10C23A9000000/
保存日: 2023/09/21 8:06

写真はイメージ=PIXTA

2024年1月から新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まる。新NISAは生涯投資枠の拡大など、現行のNISAとは設計が大きく変わるため、その活用には深い理解が欠かせない。この連載では新NISAをうまく活用するため投資戦略などを紹介する。2回目の今回は、単に枠の拡大にとどまらず、個人の投資にいくつものパラダイムシフトをもたらす新NISAの本質について解説する。
現行の一般NISAもつみたてNISAも、投資の選択肢を制限する「不自由」を抱えた制度だ。しかし2024年に始まる新NISAは違う。資産運用の自由度を飛躍的に高める「3つのパラダイムシフト」が起きようとしている。
【連載「新NISA活用完全ガイド」の記事一覧】
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「資産入れ替え」という自由

1つ目のパラダイムシフトをもたらすのは「資産の入れ替えが可能」な点だ。現行NISAで買った株や投資信託は、売却した時点で非課税保有期間が終わり、非課税枠は二度と復活しない。これは個別株の損切りや利益確定を制限し、投信のリバランスを許さないという、資産運用にとって極めて不合理な縛りになっていた。一般NISAでは「失敗確率の低い」選択をせざるを得ず、つみたてNISAでも「20年後まで保有を続ける」必要があるため、無難な資産配分が求められた。
しかし新NISAでは必要に応じて資産を入れ替えられる。新NISAなら一度売った枠は翌年以降に復活するため、短期売買には使えないものの、状況の変化に応じて株式や投信の保有銘柄を入れ替えられる。大化け狙いの個別株投資や、今後の相場見通しを反映した投資に活用できる。

2つ目の、非課税保有期間の「無期限化」は、配当狙いの株式投資の価値を何倍にも高めるインパクトを持つ。従来は個別株なら最大10年分の配当しか非課税にならなかった。新NISAなら30〜40年はおろか、半永久的に非課税メリットを受け続けられる。
仮に4%の配当利回りを25年間続ければ、配当だけで元本の回収が終わるし、それは今の株式市場なら十分可能な利回りでもある。将来的に銘柄を入れ替えてもいいので、さらに高配当株投資の確実性は増す。

「いつ枠を使うか」も自由

無期限化に加えて、非課税枠が「年単位」から「生涯」になったことの影響も大きい。従来なら発生した年に使わなければ非課税枠は無駄になっていたが、今後は生涯1800万円の枠を、人生の好きなタイミングで使える。
今、元手が少なければ20年超かけて積み立て投資をしてもいいし、資金が必要なライフイベントが訪れた時に一度売却して、後日投資を再開してもいい。一人ひとりの人生に合わせて資産形成をカスタマイズできるのだ。
これで最大の恩恵を受けるのは、実はシニア層かもしれない。積み立てよりむしろ取り崩し方が重要なのがシニア層。5年で買って一生保有できる新NISAはそんなニーズも満たせる。

21日発売の日経マネー11月号ではまず新NISAのルールの詳細を解剖した上で、可能になる新たな投資戦略や有望銘柄を多数紹介している。その一部を本連載記事でも紹介していく。
(臼田正彦)
[日経マネー2023年11月号の記事を再構成]
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