新NISAの成長投資枠対象、積み立て効率上位の投資信託は? – 日本経済新聞
作成者:
ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL101GI0Q3A810C2000000/
保存日: 2023/09/05 8:19
2024年から大きく拡充される少額投資非課税制度(NISA)は「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に分かれ、併用が可能になる。このうち成長投資枠は個別株や投資信託などが投資対象になり、積み立てでも一括でも購入できる。成長投資枠の対象商品について、過去5年間の積み立て効率がよかった投信を調べてみた。
成長投資枠の年間投資枠(元本ベース)は240万円。新しいNISAで生涯に使える限度額は1800万円(つみたて投資枠を含む)で、このうち成長投資枠に充てられるのは1200万円までとなっている。毎月20万円ずつ積み立て投資をした場合、単純計算で年240万円の投資枠が埋まり、最短5年で成長投資枠の1200万円を使い切ることになる。
成長投資枠では、毎月分配型や信託期間が20年未満のもの、ヘッジ目的以外でデリバティブ(金融派生商品)を使う投信が対象外。この要件に適合するかを運用会社が判断し、投資信託協会に届け出たファンドのリストが公表される。23年8月1日時点では国内公募の追加型株式投信(上場投資信託=ETF=を除く)のうち1491本が対象となっている。
この中から今回調査対象にしたのは、主に海外株で運用する成長投資枠の対象ファンド。積み立て投資の運用効率を測る「QUICK積み立てファンド投資評価」を使い、23年7月末時点で過去5年間の積み立て効率が高いファンドをランキングした。この指標は積み立て投資のリターンをファンドの値動きの大きさを示すリスクで割って求め、数値が大きいほどリスクに見合ったリターンを効果的に上げたと評価する。
積み立てを5年続けた場合の投資効率の首位は「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」。野村アセットマネジメントが2009年8月から運用を続けているアクティブ型(積極運用型)で、世界の半導体関連企業の株式に投資する。3位には三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がランクイン。米S&P500種株価指数との連動をめざすインデックス型(指数連動型)で、新しいNISAのつみたて投資枠でも使える。
次に「世界半導体株投資」を設定当初から5年間(09年8月〜2014年7月)、毎月末に20万円ずつ積み立て、その後も保有し続けたケースを想定し、元本1200万円の評価額が23年7月末時点でいくらになったかをシミュレーションしてみた。評価額は各月末時点の分配金再投資ベースの基準価格で算出した。検証の結果、23年7月末の評価額は1億4334万円に膨らみ、ここから元本を差し引いた含み益は1億3134万円となった。
なお、実際にNISA口座で積み立てているファンドから分配金を受け取り、それを再投資に回す場合は、その分だけ非課税の年間投資枠を使うことになる。仮に年間投資枠ぎりぎりになるように毎月の積立金額を設定していると、分配金が再投資されなかったり、課税口座で再投資されたり、12月分だけ積み立てられなかったりすることがある。どう取り扱われるかはNISA口座を開設している金融機関によって異なるため、該当しそうなら事前に確認しておきたい。
(QUICK資産運用研究所 西田玲子)