バフェット氏盟友「米銀に不良債権がまん延」 英紙報道 – 日本経済新聞
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01AXS0R00C23A5000000/
保存日: 2023/05/02 7:49
バークシャー副会長のチャーリー・マンガー氏は「2008年ほど悪い状況ではない」とも指摘する=ロイター
【ニューヨーク=吉田圭織】投資会社バークシャー・ハザウェイの副会長を務めるチャーリー・マンガー氏は4月30日、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、米銀には「商業用の不動産関連の不良債権があふれている」と警告した。99歳の同氏は著名投資家ウォーレン・バフェット氏の盟友で、業界の「ご意見番」としても知られる。不動産相場の下落を受け、米金融システムが直面するリスクに改めて警鐘を鳴らした形だ。
マンガー氏は「(採算が取れない)オフィスビルやショッピングセンターなど問題がある物件がたくさんある」と指摘した。すでに「6カ月前に比べ、米国中の銀行は不動産ローンに厳しくなっている」と説明した。
バークシャーはこれまでの金融不安時には米銀の支援に動いていた。2008年の金融危機にはゴールドマン・サックスに、2011年にはバンク・オブ・アメリカにそれぞれ50億ドル(約6900億円)を投じた。
だが、今回のシリコンバレーバンク(SVB)などの一連の銀行破綻にはまったく関わらなかった。マンガー氏は「バークシャーの銀行投資のいくつかは非常にうまくいった」と明かした。一方で、「失望することもあった。銀行を賢く運営するのは難しく、間違った方向へ導く誘惑が多い」と指摘した。
同インタビューでマンガー氏は商業用不動産をめぐる懸念を示す一方「2008年ほど悪い状況ではない」とも述べた。「トラブルはどこでも起きるように銀行でも起きる。好況期に悪い習慣を身につけ、一転して不況期では想定以上の大きな損失を被ってしまう」と話した。
米国経済の先行きについても語った。バフェット氏が21年に毎年恒例の株主への手紙で「米国に背くような賭けは絶対にするな(Never bet against America)」と書いたのに対し、マンガー氏は慎重だ。「米国の民主主義が永遠に繁栄し、栄え続けるのを当たり前だと思ってはいけない」とみる。だが「しばらくはうまく立ち回れるだろう」とも述べた。