途上国の債務返済8.5兆円に 世銀総裁「危機が激化」(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN06D6D0W2A201C2000000/
保存日: 2022/12/07 7:58
2022年12月7日 1:22
世銀のマルパス総裁は「多くの国が財政危機や政情不安に直面する」と警鐘を鳴らした=ロイター
【ワシントン=高見浩輔】世界銀行は6日、途上国の債務返済が2022年に前年比35%増の620億ドル(約8.5兆円)を超えそうだと発表した。利上げによる金利上昇や対ドルでの通貨安が状況を一段と悪化させる懸念があり、マルパス総裁は「債務危機が激化している。対策を怠れば多くの国が財政危機や政情不安に直面し、何百万人もの人々が貧困に陥る」と警鐘を鳴らした。
同日公表したリポートで、国際開発協会(IDA)から借り入れが可能な最貧国の債務を分析した。対外債務残高は21年時点で9兆ドルと約10年前の2倍に膨張。21年の債務返済額は462億ドルだった。輸出で得られる金額と比較すると約10年前の3.2%から10.3%に拡大しており、支払い負担は経済規模に比べて重くなっている。
世銀は最貧国の約6割が債務危機のリスクが高いか、すでに危機に陥っているとみている。2023年は金融引き締めの影響で、世界同時不況に陥る可能性が高まっているとも指摘している。
中国やインド、中東諸国などからの借り入れが増えており、日米欧などで構成するパリクラブ(主要債権国会議)の割合は低下している。多国間での協調が必要な債務再編は難航しており、20カ国・地域(G20)も具体的な打開策を示せていない。マルパス総裁は「債務を削減し、透明性を高め、迅速な再編を促進するために、包括的なアプローチが必要だ」と指摘した。
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• ひとこと解説リーマンショック以降の異常な金融緩和(ゼロ金利+量的緩和)は米国経済を救ったのだが、その代償をいつかだれかが払わないといけない。猛烈なインフレを恐れているFRBは利上げを急いでいるが、途上国は外債を減らすスピードが遅いため、そのしわ寄せが襲ってきた。IMFや世銀が警鐘を鳴らすのは当然だが、これから先は重要なのは世界主要国が金融政策を取るとき、自国の都合だけでなく、世界経済にも配慮しなければならないということである