ペロシ氏、米下院民主党トップ退任へ 世代交代を強調(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN17ELT0X11C22A1000000/
保存日: 2022/11/18 8:07
ペロシ氏は下院民主党トップを約20年務めてきた=ロイター
【ワシントン=芦塚智子】米民主党のナンシー・ペロシ下院議長(82)は17日、来年の新議会で下院民主党の指導部に立候補しないと表明した。下院本会議場での演説で「新しい世代が民主党を率いるときが来た」と述べ、党内の世代交代の必要性を強調した。下院議員の職は続ける考えを示した。
ペロシ氏は1987年にカリフォルニア州で下院議員に初当選し、2003年から約20年にわたって下院民主党のトップを務めてきた。07年には民主党が下院の多数派を奪還したのを受け、女性初の下院議長に就任。オバマ政権下での医療保険改革法案や、バイデン政権での新型コロナウイルス経済対策法案の成立などに尽力した。対中強硬派として知られ、8月には台湾を訪問した。
バイデン大統領は声明で、ペロシ氏について「米国史上で最も重要な下院議長として歴史に名を残すだろう」と称賛した。
一方でペロシ氏はトランプ前大統領と激しく対立し、トランプ氏の弾劾を決定。民主党トップとして共和党の攻撃対象にもなってきた。10月末には自宅に男が侵入し、夫のポール氏に重傷を負わせた。男はトランプ氏の支持者とみられ、ペロシ氏を狙っていたと供述している。
また民主党左派の若手議員を中心に数年前から世代交代を求める声が上がっていた。ペロシ氏の後任には、ハキーム・ジェフリーズ議員(52、ニューヨーク州選出)が有力視されている。ジェフリーズ氏が選ばれれば、連邦議会で黒人初の党トップとなる。下院民主党は30日に指導部選挙を予定している。民主党は中間選挙で下院の多数派を失ったため、下院議長には共和党のマッカーシー院内総務が選出される見通し。
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• ひとこと解説米国の政治の世界における高齢不安という問題は、バイデン大統領にとどまる話ではない。指導部から身を引くことになったペロシ下院議長は82歳。ロイター通信は「民主党指導部は82歳の同氏のほか、バイデン大統領が近く80歳を迎え、シューマー上院院内総務も71歳と、年齢を巡る問題が浮上している」と報じていた。一方、共和党では、次期大統領選に出馬する意向を表明したトランプ元大統領が、現在76歳である。世代交代がどのような形で進んでいくのか。世代によって価値観が異なることは、今回の中間選挙でも垣間見えた。世代交代と連動しての米国政治の変動、要注目である。
• ひとこと解説ペロシ、ホイヤー、クライバーンの民主党指導部はほぼ多くの人が考えていたように、いずれも退任。約20年間の長期にわたる3人の強力なリーダーシップでした。ちょうど1世代ほど下のジェフリーズ、クラーク、アギュラが選ばれるのが既定路線。