世界のユニコーン1066社、分野別一覧で迫るその実態
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC061HB0W2A400C2000000/
保存日: 2022/04/15 19:17
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企業価値が10億ドル以上の未上場企業はかつては少なく、非常に珍しいことからユニコーン(一角獣)と名付けられた。多額のリスクマネーがスタートアップに流れる中、ユニコーンは数を増し、2022年2月には1000社に達した。企業価値の総額は3兆5000億ドルを超える。1066社のユニコーンを分野別の一覧にまとめ、その姿を浮かび上がらせる。
CBインサイツのデータベースを使い、事業を手掛ける主要市場ごとに世界のユニコーン企業すべてを図にした。この図では、ユニコーンを「自動車&輸送」「サプライチェーン(供給網)&物流」など15のカテゴリーに分類した。「その他」には再生可能エネルギーや宇宙テック、広告テックなどが含まれる。CBインサイツの22年3月24日時点のデータをもとに作成した。
グローバル・ユニコーン・クラブ (企業価値が10億ドル以上の未上場企業1066社)
ポイント
世界で最も企業価値が高い未上場企業は、「人工知能(AI)」に属する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス、ByteDance)だ。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」やニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」を運営する同社は20年3月、米タイガー・グローバル・マネジメントから出資を受けて企業価値が1400億ドルに達した。直近では21年8月、プライベート・エクイティ(PE=未公開株)ラウンドで中国互聯網投資基金(CIIF)から資金を調達した。
2位は宇宙開発スタートアップの米スペースX(Space X、企業価値1003億ドル)、3位は米オンライン決済のストライプ(Stripe、950億ドル)、4位はスウェーデンの後払い決済サービス(BNPL)クラーナ(Klarna、456億ドル)、5位は人気ゲーム「フォートナイト」を開発したゲーム大手の米エピックゲームズ(Epic Games、420億ドル)だった。エピックゲームズは21年11月、米スマッシュベンチャーズからの出資に伴い、企業価値が420億ドルに達した。
カテゴリー別トレンド
最もユニコーンが多いカテゴリーは「フィンテック」で、全体の約5分の1(20.8%)を占めている。2位以下は「インターネットソフトウエア&サービス」(18.9%)、「電子商取引(EC)&ダイレクト・ツー・コンシューマー(D2C)」(10.4%)、「AI」(7.8%)の順だった。
フィンテックで最も企業価値が高いユニコーンはストライプで、21年3月時点では950億ドルだった。
インターネットソフトウエア&サービスで最も企業価値が高いユニコーンは、共同作業できるデザインソフトを手掛けるオーストラリアのキャンバ(Canva)だった(21年9月、400億ドル)。
EC&D2Cでは米ファナティクス(Fanatics)がトップだった(22年3月、270億ドル)。スポーツ関連グッズのECを運営する同社は最近、シリーズHで米フィデリティ・インベスメンツ、米ブラックロック、米MSDパートナーズなどから15億ドルを調達した。
企業価値による分布
バイトダンスは20年3月に企業価値が1400億ドルに達し、唯一の「ヘクトコーン(企業価値が1000億ドル以上の未上場企業)」になった。イーロン・マスク氏が所有するスペースXは21年10月、投資家が既存投資家の持ち分を買い取る「セカンダリー(流通)市場ラウンド」で7億5500万ドルを調達して企業価値が1003億ドルになり、世界で2社目のヘクトコーンになった。
次のグループ「デカコーン(企業価値が100億ドル以上の未上場企業)」には51社が属する。一方、企業価値が10億ドルちょうどの企業は世界のユニコーン全体の23.5%を占める。
地理的トレンド
ユニコーンが最も多いのは21年12月の前回の分析と同じく米国だった。米企業の割合は全体の半数強(52%)に及ぶ。2位は中国(16.3%)で、前回から2ポイント近く下がった。
3位はインド(6%)、4位は英国(4%)だった。
増え続けるユニコーン
今回のマップに記載された企業の約3分の2に相当する734社が、20年以降にユニコーンに加わった。そのうち、全体の半数近い519社が21年に新たにユニコーンになった。
21年12月の前回分析ではユニコーンの数は936社だったが、その後13.9%増えて1066社になった。
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