EU首脳会議開幕 仏大統領「ロシアの停戦条件飲めない」(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR10EJA0Q2A310C2000000/
保存日: 2022/03/11 7:44
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2022年3月11日 2:35
EU首脳会議開幕に先立って、ショルツ独首相㊨を迎えるマクロン仏大統領(10日、ベルサイユ)=ロイター
【ベルサイユ=竹内康雄】欧州連合(EU)の首脳会議が10日、パリ郊外のベルサイユで開幕した。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、EUのロシア産エネルギーからの自立や防衛力の強化を討議。ウクライナなどによるEUへの加盟申請も議論するが、加盟国間で意見が割れている。
EU議長国のフランスのマクロン大統領は開幕前の10日夕、記者団に48時間後にロシアのプーチン大統領と再び話すと明らかにした。マクロン氏は同日、ショルツ独首相とともにプーチン氏と電話し、即時の停戦を求めていた。
マクロン氏は「(ロシアによる停戦の)条件は受けいれられない」と説明。「今後数時間、数日のうちに外交的な解決はのぞめない」と述べ、事態の収束には時間がかかるとの考えを示した。
首脳会議では、ウクライナなどのEU加盟問題が議題の一つとなる。2月末から3月初旬にかけて、ウクライナ、ジョージア、モルドバがEUへの加盟を申請した。EUはロシアの脅威に直面するこうした国々に寄り添い、協力を深める姿勢を示す見通しだが、早期加盟には慎重な加盟国が少なくない。
オランダのルッテ首相は会議開幕前に「EUの加盟国になる近道はない」と語った。マクロン氏も戦争状態にあるウクライナと加盟について話し合うのは現実的ではないとの見方を示した。一方、クロアチアなど東欧の複数の国は早期加盟を支持する。加盟交渉を始めるには加盟国の全会一致が必要だ。
EUのロシアへのエネルギー依存度をどう下げるのかもテーマになる。国際エネルギー機関(IEA)によると、21年のEUの天然ガス輸入の45%をロシアが占める。マクロン氏は「依存を下げるペースで合意する必要がある」と述べ、ロシア産エネルギーから自立する時期を議論する考えを示した。
ロシアの脅威が間近に迫り、EU首脳は防衛力を強化する方針で一致する見通しだ。防衛装備品の共同開発や調達での協力を進めるほか、サイバー空間や宇宙での防衛能力も強める。首脳会議は11日に閉幕する。