NATO早期加盟断念も 米欧ロによる安全保障条件(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB100GU0Q2A310C2000000/
保存日: 2022/03/10 7:56
演説するウクライナのゼレンスキー大統領(7日、キエフ)=ロイター
【リビウ(ウクライナ西部)=共同】ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナのゼレンスキー大統領の与党「国民の奉仕者」は8日の声明で、ロシアが要求する中立化について、米国や欧州にロシアを加えた周辺諸国が安全の保障を確約することを条件に北大西洋条約機構(NATO)早期加盟を断念することもあり得ると表明した。
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長引く戦闘で人的犠牲が増え続け、人道危機が深まる状況を背景に、停戦合意に向けた妥協模索の動きとみられるが、NATO加盟断念ではないため、ロシアが受け入れる可能性は低い。
一方、ゼレンスキー氏は8日、英下院に向けたオンライン演説で徹底抗戦の姿勢を強調。ウクライナ政権は戦況や国際社会の動向を見極めつつ、対ロ交渉に臨む。
同党は声明で、NATOがウクライナ加盟を認めない間は米国やトルコ、近隣の欧州諸国やロシアが具体的な条約でウクライナの安全を政治、経済、軍事的に保障すべきだと主張した。
同党は、NATOがウクライナ加盟を今後15年は認めないとの認識を表明。また、ロシア侵攻後の戦争でウクライナを支援してくれるNATO加盟国は一部の国だけだと失望を表した。
その一方、ロシアが停戦の条件とするウクライナ南部クリミア半島領有権や、東部ドンバス地域の親ロ派独立の承認は「国家の統一性を失うことになり、受け入れられない」と表明。近く開かれる4回目の停戦交渉が妥結に至るかは不透明だ。