ロシア中銀総裁、「金融システム・経済は異常な状況」(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR28D7I0Y2A220C2000000/
保存日: 2022/03/01 8:06
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ロシア中銀のナビウリナ総裁は28日、「現在、ロシアの金融システムと経済は全く異常な状況」と説明した=ロイター
【モスクワ=桑本太】ロシア中央銀行は28日、政策金利を従来の9.5%から20%に引き上げた。会見したナビウリナ総裁は「現在、ロシアの金融システムと経済は全く異常な状況」と説明、ロシアのウクライナ侵攻による米欧の経済制裁に対し、通貨安定に向けて可能な施策をとっていくと説明した。
欧米などによる経済制裁についてナビウリナ総裁は「外貨準備などの利用が制限されることになった」とし、「現在、ロシアの金融システムと経済は全く異常な状況にあり、中銀は柔軟に必要な手段を講じていく」と述べた。
為替介入が難しくなるとの見方から、28日の外国為替市場では通貨ルーブルが急落し、ドルに対しては一時1ドル=120ルーブル近辺と過去最安値を更新した。ナビウリナ総裁は通貨安によるインフレを抑制するため「(インフレリスクの上昇を)補う水準まで金利を引き上げる必要がある」と利上げの背景を説明した。
前週末以降、通貨安などを懸念した利用者が銀行のATMでドルなどの預金を引き出す光景が目立っている。ナビウリナ総裁は「銀行部門は現在、構造的な流動性不足に陥っている」としたが、国内銀行は中銀から資金調達するための十分な担保があるとして調達余力があると強調した。
ロシア財務省は28日、輸出企業に対して貿易での売上高の80%に相当する外貨を強制的に売却することを義務付けた。ドルやユーロなどの外貨を売ってルーブルを買う取引の増加で、「国内市場での外貨確保に役立つだろう」(ナビウリナ総裁)と指摘した。
米欧はロシアの大手銀行などを国際決済網のSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除する措置も表明した。ナビウリナ総裁は「国内の金融インフラの整備を進めている。SWIFTに代わるロシアの金融システムがあり、海外参加者の接続も可能だ」などと述べ、対策をとる考えを示した。