アリババ創業者、ジャック・マー氏が海外視察(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM205TO0Q1A021C2000000/
保存日: 2021/10/21 8:20
【上海=松田直樹】中国のネット通販最大手、アリババ集団の創業者である馬雲(ジャック・マー)氏が海外視察に出かけたことが20日までに分かった。アリババが保有する香港紙が報じた。馬氏を巡っては当局から海外への渡航を制限されているとの観測も出ていた。アリババに対する政府の圧力が和らぎつつあるとの見方も出ている。
サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、馬氏は農業分野の視察のためスペインに滞在している。海外出張は1年以上ぶりとなる。出張の直前には家族で香港を訪れていた。
馬氏は2020年10月末に上海市で開かれた講演で「良いイノベーションは(当局の)監督を恐れない」などと政府に批判的な発言をしたことで習近平(シー・ジンピン)指導部から問題視されたとされる。その後、当局は翌月3日に控えていたアリババ傘下の金融会社、アント・グループを上場延期に追い込んだ。
アリババも独占禁止法違反で当局から調査を受け、過去最大の罰金を科された。積極的に国内外を飛び回っていた馬氏も公の場から姿を消し、アリババの社内イベントへの出席など一部の動向が伝わるのみだった。一部メディアからは、馬氏が海外渡航を限定されているとの報道も出ていた。
SCMPはアリババの株主のコメントとして、馬氏が海外視察に出かけたことは「アリババと規制当局の間にある問題が解決したことを示している」と報じた。20日の香港市場でアリババ株は一時9%高まで上昇した。
ただ、アリババの経営には依然として課題も多い。アントは金融当局のもとで事業の再編などを進める。主力のネット通販事業も当局の規制圧力の影響で稼ぐ力に衰えがみえる。11月には年間最大の稼ぎ時であるネット通販セール「独身の日」を控えているが、今年は当局による厳しい監督のなかで開かれるため、動向が注目されている。