Amazon、米で自社開発テレビ10月発売 アレクサ搭載
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09EEQ0Z00C21A9000000/
保存日: 2021/09/10 7:46

【シリコンバレー=白石武志】米アマゾン・ドット・コムは9日、初めて自社開発したテレビを10月に米国で発売すると発表した。音声認識人工知能(AI)「アレクサ」を搭載し、音声だけでチャンネル操作などができる。衣料品や日用品に続き、単価の高い家電分野でもプライベートブランド(PB)商品を拡充する。
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43インチから75インチまで5種類の画面サイズが選べる「ファイアTVオムニシリーズ」の価格は409.99ドル(約4万5000円)から。43インチから55インチまで3種類を用意する「ファイアTV4シリーズ」は369.99ドルから。アマゾンのネット通販サイトと米家電量販大手のベストバイを通じて販売する。
音声AIのアレクサはテレビの電源を切っていても利用できる。リモコンが手元になくても、テレビに向かって「お気に入りの番組を見せて」と話しかけるだけで閲覧履歴などのデータをもとに目当ての番組を再生できるという。
アマゾンではプライベートブランドの車載収納用品などの開発において、通販サイトで得た外部企業の販売データを不正に流用していた疑いが持たれている。米IT(情報技術)大手の反競争的行為に目を光らせる米議会では、アマゾンに対しプライベートブランド部門の分離などを求める規制案も検討されている。
アマゾンはこれまでは米国ではベストバイと提携し、アマゾンのセットトップボックス「ファイアTV」の機能を内蔵したテレビを「東芝」や「インシグニア」などのブランド名で販売してきた。アマゾンが発売するプライベートブランドのテレビは、こうした提携先の商品とも直接競合してシェアを奪う可能性がある。
アマゾンとベストバイは同日、ファイアTVの機能を内蔵したテレビを「東芝」や「パイオニア」などのブランド名で今秋以降に発売すると発表した。アマゾンはプライベートブランド商品の発売後も従来の提携先との協力関係を維持する姿勢を示すことで、米議会などの批判をかわす狙いとみられる。
アマゾンはこれまでインドで自社ブランドを冠したテレビを販売した実績はあるが、テレビを自社開発したのは今回が初めてとしている。量販店を通じた販売が主流の米国ではテレビの価格競争は激しく、利幅は少ないとされる。米IT大手の間でもテレビ本体の開発に乗り出す例は少なく、アップルやグーグルではテレビ向けのセットトップボックスなどの供給にとどまっている。