中国製EV、日本に本格上陸 佐川急便が7200台採用
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC136SH0T10C21A4000000/
保存日:2021/4/13 18:00 [有料会員限定]

佐川急便が公開した商用電気自動車のプロトタイプ車両(13日、神奈川県綾瀬市)

中国の自動車・部品メーカー、広西汽車集団が小型商用の電気自動車(EV)を日本企業に供給する。SGホールディングス傘下の佐川急便が国内での配送用トラックとして7200台採用することを決めた。EVの普及で先行する中国製のEVが日本に本格上陸する事例となる。

広西は中国南部の広西チワン族自治区柳州市に本拠を構える。供給するEVは軽自動車サイズの商用バンで航続距離は200キロメートル以上。配送拠点から配達先までの短距離を走り、配送拠点で夜間などに充電する。8月に仕様を固めて、広西が9月にも量産を始める。実際の納入は2022年9月になる見通し。

生産を担当する広西のグループ企業は日本経済新聞の取材に対し「量産に向けた準備を進めている」とコメントした。

日本の自動車メーカーが手薄な小型商用分野を市場開拓の足がかりにする。当初は並行輸入車などとして日本に供給する。並行して国内で継続的にナンバーをとるのに必要となる国土交通省の型式認証手続きを進める。

車両の企画開発や製品保証は日本のEV関連スタートアップのASF(東京・港)が担当する。広西はASFからOEM(相手先ブランドによる生産)を受託する形となる。佐川は今回採用するEVのコストを明らかにしていないが、現状のガソリン車の軽ミニバンの130万~150万円を下回る水準とみられる。

小型EV商用車は、採算性や安全性の確保、ブランド維持の観点から日本メーカーがあまり手を付けていない領域だ。三菱自動車が世界初の軽商用EV「ミニキャブ・ミーブ」を11年に発売したが、累計で9100台の販売にとどまる。

中国製EVは商用車ではそろりと浸透し始めた。中国大手の比亜迪(BYD)が日本での納入例を増やしており、上野動物園(東京・台東)やハウステンボス(長崎県佐世保市)などが園内バスとして採用しており、のべ53台を納入済みだ。BYDは22年6月までに100台まで増やすことをめざしている。