半導体、韓台のみ達成「16兆円投資」のハードル
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ291PK0Z20C21A3000000/
保存日:2021/3/31 11:00

サムスン電子はソウル近郊の平沢(ピョンテク)工場で最先端の半導体生産を受託する
米インテルが同アリゾナ州に最先端の半導体工場を建設することを決めた。世界の半導体サプライチェーン(供給網)で強まる中国の影響力を避ける狙いのようだ。韓国、台湾を含むアジア勢との主導権争いに踏みとどまる転機となる可能性がある。日本も半導体振興策の再考が必要だろう。
「少なくとも、年300億ドル(約3兆3000億円)の支出を5年間続ける必要がある」。米調査会社ICインサイツは3月中旬に公表したリポートで、米国、中国、欧州連合(EU)の半導体産業の振興策をこう分析していた。

米中欧がサムスン電子、台湾積体電路製造(TSMC)の韓台2社と生産技術・能力で互角な半導体メーカーを育てるために最低でも必要となる支出を試算したものだ。実際に、半導体産業は工場建設費が高騰し、韓台2社以外は投資競争から脱落気味だった。
ICインサイツによると、世界の半導体メーカーの設備投資額では2010年以降、サムスンの首位が続く。かつて首位を独走したインテルは現在、TSMCと2位争いするのが精いっぱいだ。21年には、サムスンとTSMCで業界全体の43%を占める見通しだ。
つまり、世界の半導体産業では過去20年、韓台2社による寡占化が着実に進んできた。最近の自動車用半導体の供給不安はその弊害のひとつだろう。インテルが23日決めた大型投資は米中摩擦が大きな動機とみられるが、韓台の先行に待ったをかけた形でもある。
一方、ICインサイツが示した「5年間で16兆円」のハードルは高い。例えば、中国は14年以降、官民を挙げて半導体産業を強化しているが、17~20年の中国メーカーの設備投資は合計で447億ドル。同じ期間のサムスン1社の投資額の約半分にとどまっている。

リポートは中国について「資金は工面できても、米中摩擦のせいでカギを握る製造装置が購入できない」と苦戦を予想。欧州については、主導権争いに加わる道筋を示していない。
リポートは主要プレーヤーと認識していないためか、日本に触れていない。経済産業省は「先端品の生産は海外メーカーの工場を誘致する」方針を掲げるが、例えばTSMCが茨城県つくば市で開設を決めた実装技術の研究拠点は投資規模がけた違いに小さい。
地政学リスクが高まるなか、米中韓台の大手がわざわざ日本で大型工場を建てるシナリオは現実味が乏しい。日本は競争力を残している製造装置や素材に人材・投資を集中するなど、得意分野に絞った半導体振興策に移行すべきではないか。
(アジアテック担当部長 山田周平)